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昆虫類の翅の起源を発生学的に解明 ~翅の起源に関わる側板は肢の付け根に由来する~

2017/10/03

筑波大学生命環境系(山岳科学センター菅平高原実験所昆虫比較発生学研究室) 町田龍一郎 教授と福島大学大学院共生システム理工学研究科 真下雄太 日本学術振興会特別研究員-PDは、フタホシコオロギの卵から成虫にいたる全発生過程を、走査型電子顕微鏡を用いて詳細に検討しました。その結果、証拠立てが不十分だった側板の「亜基節起源説」(側板は肢の最基部節である亜基節に由来するという仮説)に、初の説得力のある形態学的証拠を提出しました。また、詳細な発生過程の追跡により、背板と肢の境界(背板‐肢境界BTA)を確定することに成功しました。

以上の結果から、翅の本体はBTAより背方の領域、すなわち背板の側方への拡張部である「側背板」に由来する一方で、翅の関節や翅を動かす筋肉はBTAより腹方の領域、つまり肢(最基部節である亜基節、すなわち側板)に由来することが示されました。その結果、翅の「二元起源説」が強く支持され、昆虫の翅の起源に関する長い論争に決着をつけることになりました。

図 フタホシコオロギの成虫(A)と、中期胚(B)、1齢幼虫(C)と成熟(11齢)幼虫(D)の中胸節~後胸節の拡大。中胸節のみ背板をピンク、肢の最基部節である亜基節をブルーで示している。矢印は背板‐肢境界(BTA)。成熟幼虫(D)で分かるように、胸部の側面を被う側板は肢の亜基節に由来する。また、翅(翅芽)本体は背板に起源する一方、翅の基部関節(点線で示した領域)は側板、つまり亜基節に由来する。また、翅の筋肉系も亜基節環節の内在筋(側板の内側にある)起源である。このように、翅システムは、「背板」と「肢の基部環節(亜基節、つまり側板)」に由来することになり、翅の「二元起源説」が強く支持される。成虫(A)で「中胸側板」「後胸側板」と示した領域は、肢の最基部節である亜基節に由来した側板で、その上端に背板から形成された翅本体が関節する。

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