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iPS 細胞の品質管理を迅速かつ簡便に行える顕微鏡システムの開発 ~顕微鏡観察により細胞の多能性を生きたままで定量的に評価~

2019/02/12

筑波大学 医学医療系 西村健准教授、久武幸司教授らの研究グループは、多能性注1)幹細胞を生きたまま観察するだけで、その品質が定量的に評価できる顕微鏡システムの開発に成功しました。このシステムは、多能性幹細胞の品質を迅速、簡便かつ定量的に評価することを可能にするため、再生医療等への応用が期待できる技術です。

本研究グループは、オリンパス株式会社が技術開発したRM-DIC顕微鏡注2)を改良し、細胞内の微小構造を無染色で画像化できる「PD imaging system」の開発に成功しました。このシステムで得られた画像の処理方法を最適化すると、細胞内のミトコンドリア量を定量的に評価できることを見出しました。ミトコンドリア活性は多能性と逆相関することから、「PD imaging system」で多能性幹細胞を画像化すると、細胞を固定・破壊せずに生きたままで細胞の多能性が定量的に評価できることを明らかにしました。実際に、多能性の異なるiPS細胞群を「PD imaging system」で画像化すると、高い多能性を持つ高品質なiPS細胞を選別することができました。

(図 「PD imaging system」を用いた多能性幹細胞品質管理のモデル)


注1)多能性
様々な組織に分化できる能力(多分化能)と、性質が変わることなく増殖する能力(自己複製能)の両方を併せ持つ能力を多能性といいます。胚性幹細胞(ES 細胞)は多能性を持つ代表的な細胞。iPS 細胞も体細胞に遺伝子を導入して、ES 細胞と同等の多能性を獲得させた細胞です。高い多能性を維持しているiPS 細胞は高品質なiPS 細胞と考えられ、様々な組織を分化誘導し、再生医療に応用することができます。

注2)RM-DIC 顕微鏡
生細胞のように無色透明な物体を生きたまま観察できる顕微鏡に微分干渉顕微鏡(Differential interference
contrast microscope)があります。この微分干渉顕微鏡は、ある一定の方向(シアー方向)に横ズラシした2つ
の物体像を元に画像を形成するため、シアー方向については微細な構造の観察が可能です。干渉計に用い
られている計測技術を微分干渉顕微鏡に付加して、観察物体の微細な形状の三次元計測を可能にした装置
がRM-DIC(Retardation-Modulated Differential Interference Contrast)顕微鏡です。

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