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心筋細胞の新たな再生法の発見 ~非ステロイド性抗炎症薬ジクロフェナクが心筋誘導を促進~

2019/02/20

筑波大学 医学医療系 家田真樹教授の研究グループは、臨床で汎用されている非ステロイド性抗炎症薬ジクロフェナク(商品名:ボルタレン)が、新生児期及び成体期のマウス線維芽細胞から心筋細胞への直接誘導を促進する化合物として作用することを発見しました。 

これまでに家田教授らは、新しい心臓再生法として心臓に存在する心筋以外の心臓線維芽細胞に心筋誘導遺伝子を導入することで、マウス生体内において心筋細胞を直接作製できることなどを報告してきました。しかしこれまでの方法では、胎児期線維芽細胞から心筋誘導を効率よく作成することはできても、臨床で治療対象となる新生児や成体期の線維芽細胞から心筋細胞を効率よく誘導する方法は確立されていませんでした。また加齢や老化が心筋誘導を阻害するメカニズムは不明でした。

本研究では、化合物ライブラリーを用いて、マウス新生児期および成体期線維芽細胞で心筋誘導を促進する化合物を網羅的に探索しました。その結果、日常臨床で汎用されているジクロフェナクがこれらの細胞で心筋誘導を顕著に改善することを発見しました。さらに加齢老化に伴って線維芽細胞ではシクロオキシゲナーゼ-2 (COX-2)、プロスタグランジンE2 (PGE2)/プロスタグランジンE 受容体4 (EP4)、インターロイキン-1β(IL-1β)/インターロイキン1受容体タイプ1 (IL-1R1)の炎症と線維化が活性化しており、ジクロフェナクはこの経路を抑制することで心筋誘導を改善することを見出しました。
ジクロフェナクによる安全・安価・効率的な心筋誘導は、小児や成人の心疾患に対する新しい心臓再生法への応用が期待できます。


線維芽細胞から誘導された心筋細胞
(左)心筋誘導遺伝子のみ導入、(右)心筋誘導遺伝子導入及びジクロフェナク添加
ジクロフェナクを加えることで、心筋細胞(心筋の構造タンパク質αアクチニンを赤色、細胞核を青色で染色)の誘導が促進し、細胞内部には心筋に特徴的な横紋筋構造(強拡大像)も明瞭に観察される。
スケールバーは100μm

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