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習慣的運動は子供の脳の発達を促す ~認知機能の個人差によって異なる運動の効果~

2020/07/03

国立大学法人筑波大学 紙上(かみじょう)敬太准教授と国立大学法人神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 石原暢助教は、ノースカロライナ大学(米国)、バーゼル大学(スイス)、ノースイースタン大学(米国)との国際共同研究により、習慣的運動が認知機能に与えるプラスの効果は、もともと認知機能が低い子供ほど大きいことを明らかにしました。

近年のいくつかの研究により、習慣的運動による体力の向上が、学力と密接に関わる高次認知機能を改善させることが示されています。しかしながら、一方で、習慣的運動によって学力や認知機能が変化しなかったことを示す研究も報告されています。これらの矛盾した見解には、いくつかの要因が関わっていると考えられますが、本研究では、その中でも個人差に注目しました。つまり、運動のプラスの効果が出やすい人と出にくい人がいるのかを明らかにするため、本国際共同研究チームがこれまでに実施してきた3つのランダム化比較試験を対象に分析を行いました。

その結果、①運動トレーニング前にもともと認知機能が低かった子供ほど、運動トレーニングによる認知機能の改善が大きかったこと、②運動トレーニング前から認知機能が比較的高かった子供でも、運動時間の増加によって認知機能が低下しなかったことが示されました。

本研究では、学力と密接に関わることが知られている認知機能に焦点を当てています。よって、本研究は、日常的に運動する機会を設けることが、脳の健全な発達や学力の向上に重要であることを示唆しています。今後は、さまざまな個人的特徴に焦点を当て、「どのような人に運動の効果が大きいのか」をより幅広い視点から明らかにしていきます。


図. 認知機能改善の大きさと運動トレーニング前の認知機能の関係
赤線はトレーニンググループ(運動トレーニングに参加したグループ)、青線は比較対象グループ(運動トレーニングに参加しなかったグループ)を示している。もともとの認知機能が低かった子供ほど、グループに関係なく認知機能の改善が大きかったことが分かる。これは発達の影響を示していると考えられる。注目すべきは、運動の効果(赤線と青線の差)が、もともと認知機能が低かった子供ほど大きかったことである。また、もともと認知機能が高かった子供たちにおいては、認知機能の改善の大きさはグループによる違いは見られなかった。つまり、運動時間の増加によって認知機能が低下しなかったと考えられる。

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