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山田信博学長の年頭所感

2010/01/04

 皆様,あけましておめでとうございます。
 2010年の年頭に当たり,一言所感を申し述べたいと思います。

 大学の最も重要な使命は,無限の可能性を持つ若者に,その能力を十分に発揮できるような環境を整備し,社会の求める人材を育成することにあります。特に,少子化の時代にあっては,我が国の未来を託す若者をしっかりと育てることは社会からの強い要請でもあります。まず,本学の教育の伝統に根ざす学士力,修士力,博士力をさらに強化するために,学生の視点に立ち,教育の質の保証ができるような方策が必要です。その方策には,学生の視点に立った大学運営や学位プログラムの確立なども含まれます。次に,資源の少ない我が国においては,大学は学術文化への貢献を通じて,社会基盤や科学技術の発展を促し,未来社会創生の原動力となる大きな役割を担っています。本学は国際的な研究大学として,先端的研究を推進し,新領域を開拓することにより,科学技術の格段の進歩に貢献するのみならず,世界の抱える諸課題,すなわち環境・資源,少子化・高齢化,格差,紛争,安心・安全,医療・疾病,食料,金融などの課題の解決に向けて貢献したいと考えています。

 今日,日本は言うに及ばず人類社会全体が,社会構造の未曾有の変化を従来では考えられないスピード感を持って経験しつつあります。大学も本気で意識改革しなければいけない時代に入ったと感じています。残念ながら,我が国は中国,インドに代表されるようにGDPが右肩上がりの成長を示す状況ではありません。かつて,右肩上がりの時代には,資源を投入することにより,社会基盤を整備することができました。現在は,昨年の事業仕分け作業に象徴されるように事業の優先順位をつけ,資源を再配分し,資源の有効利用が求められると同時に,資源の利用方法についても広く国民の理解を得る努力をしなければなりません。勿論,大学も例外ではありません。開かれた大学として全学をあげて,新時代に向けて,率先して大学の使命や価値を社会に向けて発信していきたいと思います。

 さて,20年後の社会はどのように変化しているでしょうか。20年前から現在までの歴史のスピード感からしますと,想像を絶するスピード感で,新しい時代が到来することを予感します。20年後を視野に入れることは大変に困難なことですが,私たち大学は,素早い社会の変化に対応するだけではなく,新しい時代への準備と覚悟をもって臨まなければならないと認識しています。年頭に当たり,建学の理念を改めて,噛み締めておきたいと思います。“本学はあらゆる意味において,国内的にも国際的にも開かれた大学であることを基本的性格とする。そのために本学は,変動する現代社会に不断に対応しつつ,国際性豊かにして,かつ,多様性と柔軟性とを持った新しい教育・研究の機能及び運営の組織を開発する”,と述べております。重大な責任を感じるとともに,皆さんと情報を共有しながら,前進したいと思います。私たちは勇気を振り絞って,これからの変革の時代に臨み,停滞よりはチャレンジ精神,対立よりは創造,しがらみよりは開放的に,しばし自由に考え抜くことにより,時代や想いを共有しながら,新しい成長・発展の芽を育んでいきたいと考えています。そして私たちがチャレンジする課題は地球レベルの問題ですから,世界の人たちの考え方や,生活,文化を知ることは,世界的な課題を解決する基本であると感じています。グローバル30のチャンスを活かして,世界の知恵も活用すべきだと思います。今年は国際的活躍をした嘉納治五郎先生の生誕150年にあたります。

 本年4月から,第二期の中期計画が始まります。複雑化した成熟社会では,自ら殻を破ることや小さなチャレンジから,予想以上に必ず新しい展開,より大きな考え方や創造的な展開が生まれ,周囲の共感も大きくなり,視野が拡がるといわれています。地球規模を実感する時代であるがこそ,チャレンジ精神をもって,皆さんとともに本学の教育・研究の向上のために努力したいと考えています。皆さんがそれぞれに新しいチャレンジをすることが,“つくば”らしさを発信することであると確信しています。本年が皆さんとともに,筑波大学の新たな飛躍の年となることを祈念して,新年の所感とします。

年頭所感を述べる山田学長
年頭所感を述べる山田学長
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