印刷

お知らせ・情報

国際化拠点整備事業(G30)の仕分け結果に対して  

2010/11/25筑波大学長 山田信博

 今般の事業仕分けにおいて,G30事業には「中身がない」として「一旦廃止し,組み立て直す」という評価が下されました。「中身がない」という判断には決して納得することはできませんが,言うまでもなく大学としては「組み立て直す」ことには吝かではありません。
 G30事業は,閣議決定により全世界へむけて宣言された大学の国際化事業であり,採択されたすべての大学が意欲的かつ真剣に推進しているプロジェクトです。このG30補助金支援による活動で,世界における日本の大学のプレゼンスが,すでに大幅に上がっていることは,間違いありません。また実質的には留学生のための事業というより,日本人学生や教員を含めた日本の大学全体の国際化のための事業であります。
 筑波大学では,昨年7月にG30事業の拠点校13大学の中に選ばれて以降,同年11月にはチュニジアに北アフリカ及びアフリカを対象とする「海外大学共同利用事務所」を開設し,今年の1月から3月にかけて,各地で「日本留学説明会」や国際セミナーを主催してきました。今年度には主要なものだけでも,5月14日にチュニスにおいて第1回日本・北アフリカ学長会議を開催し,11月にはアルジェリアで第1回日本・アルジェリア学術会議を開催するなど,意欲的に活動を展開してきました。
 これらの事業はG30採択校の中では最初に実施されたものであり,北アフリカの学生のみならず,各国の政府,高等教育科学技術省や外務省など多くの政府機関に「日本留学」への高い関心を引き起こしました。その結果,優秀な学生や若手研究者を日本へ派遣したいという希望が多く寄せられるようになり,国費留学生への応募数も,たとえばモロッコでは倍率が5倍になるなど,飛躍的に伸びました。チュニジアでは大統領が自ら「日本に学べ」と檄を飛ばして下さり,日本への期待感が膨らんできています。この期待感はG30事業の進展にしたがって,北アフリカだけでなく,世界中へ広がるようになってきました。
 このように,世界がG30事業に大きな期待と関心を払っている最中に,この事業を廃止することになれば,学生がいるにもかかわらず,雇用した外国人教員を解雇し,始まったばかりの英語コースを途中で中断しなければならず,開設した海外事務所を閉鎖することにもなりかねません。国際的にも,大きな関心と期待を集めているG30事業が,事業仕訳の方針によって,突然「廃止」されることになれば,日本は国際的な信頼を失うことになるだけでなく,将来を担う意欲的な日本人学生の海外留学への希望も打ち砕くことになります。
 大学の国際化事業は,極めて平和的で長続きのする国際貢献であり外交推進事業でもあります。G30事業の見直しを進めるとともに,さらに効果的な事業として継続することこそが,今日の日本が国際的な信用を得るために重要なことであると確信いたします。

このページのトップへ