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山田信博学長の年頭所感

2011/01/04

皆さん,あけましておめでとうございます。
2011年の年頭に当たり,一言所感を申し述べたいと思います。

まず,教職員並びに学生の皆さんには,旧年中,大学の意義や価値について,質の高いメッセージを社会に発信することに関して多大なご尽力をいただき,心より感謝申し上げます。昨年はわが国の大学の未来を左右する大学における教育や研究に関する政策コンテストに際して,数多くのコメントが教職員は言うに及ばず,学生の皆さんからも政府に寄せられ,社会の共感を得ました。本年が,大学への資源配分や学生支援が回復する元年になると期待しています。今後もわかりやすい情報発信を継続することが,大学文化の社会における定着とともに,開かれた大学である本学の一層の成長に大事な役割を果たすものと期待しています。さらに,日常業務は言うに及ばず,嘉納治五郎先生の生誕150周年記念事業,法人化後初めての認証評価,教育研究体制の在り方検討委員会,男女共同参画事業,国際化事業,学生支援などについての皆さんのご支援,ご尽力にも重ねて感謝申し上げます。

 さて,成熟社会の時代に入り,その持続可能性が問われるのみならず,これまで経験したことのない多くの困難な課題が噴出してきています。これまでも大学は,社会の発展の原動力となってきましたが,今こそ大学は未来知の拠点として,困難な課題を解決する機能を発揮しなければなりません。筑波大学は新しい時代を開くフロントランナーであることが,大事な遺伝子であることを常に意識していたいと思います。あらゆる意味で内外に開かれた大学であり,新しい時代の大学を目指しています。特に社会は大学に対して,グローバル社会の課題に対するソリューションを示すこと,学生の視点からの人材育成をしっかりと達成することを強く期待しています。法人化後,大学の自律的運営が求められていますが,限りある資源のなかでの最適化を追求するという困難ではあっても,重要な課題があります。従来の護送船団方式から脱却して,各大学の自律的運営,ガバナンスの確立が求められているともいえます。私たちは,大学の本質的役割である研究,教育,社会貢献を更に充実させるために,この自律的運営を発展させていく必要があります。多様な価値観の尊重,新しい価値観の創出,真理の探究に努める自由度の高い学門の拠点,といった大学の使命をしっかりと継承,発展させるべきであることは言うまでもありません。

 歴史的に見ても,創造的活動には社会全般のゆとりが必要です。農業,牧畜に始まる人類社会の生産活動の進歩は,徐々に社会のゆとりをもたらし,若者たちはそのゆとりを知的探求に向け,若者の知的創造力が発揮される場である大学が中世のヨーロッパ各地で芽吹き,育成されるようになりました。大学という仕組みの開発は人類の歴史の中で大事なイノベーションの一つです。大学の発展により社会の進歩は格段と加速されます。今日の知的社会や科学技術の進歩の基礎の形成や,産業革命や現代のIT革命における大学の果たしてきた役割は明白です。大学は若者たちの能力や才能が最大限に発揮されるように,800年以上に及ぶ長い歴史をかけて育てられてきた人類の叡智の賜物ともいうべきものです。そこでは,若者たちの知的好奇心を満たし,若者たちが自ら未来を切り拓く能力を養います。学生の視点から見て,私たちは,大学がいつまでも若者にとって魅力ある創造的,知的活動の自律的拠点であるようにしていかなければなりません。その意味では,高いレベルでの,個性豊かな優れた研究の展開が必要となります。研究は,知の発露であり,真理探究の道であり,妥協は許されません。高い研究力や若い研究力こそが教育の充実に繋がっているのだと確信しています。資源が制限される苦しい時代にこそ,大学の存在意義を近視眼ではなく,大学の歴史的意義を感じながら,長期的視点から見つめなおし,本学も歴史を積み重ねて,その社会的使命を果たさなければなりません。

 建学の理念では,従来の大学は,ややもすれば狭い専門領域に閉じこもり,教育・研究の両面にわたって停滞し,固定化を招き,現実の社会からも遊離しがちであった。本学は,この点を反省し,とあります。社会の新しいニーズに対して迅速に対応し,社会からのグローバル人材育成の要望に対しても応える必要があります。グローバル化した時代では,国際的に通用する人材の育成とその基本となる学位の質保証を,国際的視点に立って着実に発展させていかなければなりません。本学から平成の開国に向けて,日本のガラパゴス化を阻止したいものです。さらに,建学の理念を活かすために,大学の自治とともに,社会と共感できるガバナンスを確立すること,すなわち自治とガバナンスの両立を目指したいと考えています。ガバナンスの確立には,大学本部とともに各部局,教員組織単位の取り組みと意思の疎通が必要です。各組織による自主的かつ主体的な意思決定と多様な価値観を尊重した合意形成こそ,これからの大学の真骨頂と考えます。ガバナンスの充実とともに,一層の研究の質の向上,教育組織による国際的な互換性を持った学位プログラムやつくばスタンダードの充実を着実に進めなければなりません。本年は,教職員,学生ともに,大学の原点を見つめなおし,着実に建学の理念に沿って,また未来の視点から,本学の発展を期したいと考えています。

 成熟社会における持続可能な社会をめざす現代では,私たちの潜在的な人間力が問われています。その人間力がイノベーションの源泉となるからです。高度成長社会人から成熟社会人へと意識をしっかりとリセットしながら,人のぬくもりや丁寧さ,親切さを感じあえる筑波らしいガバナンスのなかで,チャレンジ精神をもって,新鮮な気持ちで,建設的に,皆さんとともに本学の教育・研究の向上のために努力したいと考えています。そして皆さんがそれぞれに“IMAGINE THE FUTURE.”の旗のもとに失敗を恐れずに挑戦し,若者を鍛え,飛躍することが,世界に“つくば”らしさを発信し,筑波からイノベーションを発信することになると確信しています。皆さんとともに,本年が筑波大学のなお一層の発展の年となることを祈念して,新年の所感とします。

年頭所感を述べる山田学長(中央)
年頭所感を述べる山田学長(中央)
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