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【学長ビデオメッセージ】平成23年度筑波大学へ入学される皆様へ

2011/04/06山田信博筑波大学長:2011/04/07 ビデオ配信は終了しました。

 新入生の皆さん,筑波大学へ入学おめでとうございます。教職員一同,皆さんを心より歓迎し,お祝い申し上げます。

 この新年度は特別な年になりました。ご承知のように,私たちは3月11日に東日本大震災という未曾有の災害に見舞われ,地震,津波,原発などの被害の大きさは,まさに戦争被害に匹敵する国難,非常時という状況です。誠に残念ですが,卒業式は中止し,入学式も延期としました。それは会場となるべき大学会館が損害を受け,復旧に日時を要するからです。余震は収まりつつありますが,全ての事態が以前のように快適といえる状況ではありません。多くの人が事態の重大さに不安を感じるとともに,被災地の人々の窮状に思いを馳せています。そんな中で皆さんを迎える特別な新学年がこれからスタートします。

 被災地では多くの人が犠牲となりました。最後まで職務を遂行する努力を続けて,生命を失った人たちが大勢いらっしゃることも私たちは知っています。心から犠牲者の皆さんには哀悼の意を表するとともに,被災地の皆さんにお見舞いを申し上げます。多くの同胞が想像を絶する苦境の中で,復興の努力を今も続けています。そしてこの間,日本人の素晴らしい国民性も世界と共有することができました。これは皆さんも誇りに感じていることと思います。一方で日本の弱点も見え始めています。この弱点を本日は多くを語りませんが,克服する道を皆さんには,今だからするべきことの一つとして,是非議論し,考えてもらいたいと思います。自身を振り返りながら,日本人の限界や私たちの殻を破る契機でもあります。若い柔軟な皆さんの発想から,より風通しの良い,多様な価値観を尊重するフラットな市民社会,平和な成熟社会が形成されることを期待しています。私たちは一人ひとりが学生として,教員として,職員としてしっかりと自らの果たすべき役割と責任を自覚して,行動する時でもあります。

 私たちは皆さんの積極的な参加や連帯,協力をお願いしながら,大学機能の復旧に全力で取り組んでいます。災害直後より,本学では何よりもライフラインの確保,安全の確保に努めてまいりました。その上で,大学機能の復旧,特に授業の再開を模索してきました。未だに一部になお復旧に努めなければならない部分も残念ながらありますが,皆さんの授業や教育に必要な施設は安全が確認され,利用可能な状況となりつつありますので安心してください。教職員は皆さんを迎えることができて,スタートラインにつけたことを嬉しく思っています。さてこれからですが,是非,理解してもらいたいことがあります。大震災という国難により,もはや3月11日以前の状況ではないということです。新たな日本の再生に向けて,苦難はあるが,一致団結して立ち向かう時です。皆さんはこれから新しい復興の時代,戦後復興に続く2度目の国家規模の復興を主体的に経験し,参加することになります。

 約40年前,本学の創設初期の学生,教職員は建学の理念をかかげながら,各々の理想を胸に抱いて,建設途上の土ぼこりの中で,弱音を吐かずに,十分に環境が整わない状況で授業を開始し,国際A級の大学を目指して懸命に努力し,基礎を作り上げ,現在の筑波大学へと発展させました。苦労を分かち合った先輩たちが,今,社会で活躍しています。本年の入学は大災害の直後であり,3月11日以前のように快適ではないかもしれませんし,夏は暑く,冬も厳しいかもしれません。学生生活を始めるための準備に手間取るかもしれません。しかし私たちには大事な学生がおり,皆さんには大事な未来があり,何年後かに奇跡の復興と呼ばれるような未来を創造するために,しっかりと学び,実力を育てる必要があります。未来志向や挑戦こそが筑波大学の伝統です。建学初期の学生たちと同様に,皆さんの強い団結が生まれ,充実した学生生活となることを確信しています。IMAGINE THE FUTURE.というスローガンを本学は掲げています。未来を想像しなければ創造できないという思いをこめています。多くの negative な条件が私たちの行く手をふさぐことになるかもしれませんが,一つひとつ注意して,取り除きながら,くじけず,挑戦しながら,前に進むべきです。時には前例のない柔軟な判断,リスクテークも必要になりますが,それも必ず成長への大事な挑戦や経験になります。一人ひとりがお互いに助け合い,備えながら,対応力,チームワークを発揮して,この難局をともに克服したいと思います。被災地でもまさに,現場では日常的にリスクテークしながら,自主的に判断し,多くの苦渋の決断をくだし,未来に向けて自律的に懸命の復興の努力が続けられています。逆境に強い日本人,心優しい日本人の個々の力の表現や挑戦がそこにはあふれ,輝いています。ここにこそ,日本の再生の大きなヒント,原点があるように思います。被災地の挑戦,人間力は,私たちに多くのことを教え,勇気を奮い立たせます。私たちは大学機能を力強く復活させることで被災地を勇気付け,連帯して行きます。私たちの役割を着実に果たすことで,被災地の復興を応援し,皆さんには日本再生のフロントランナーを務めることができるように精一杯,本学で学び,人間力を身につけてもらいたいと願っています。私たちは被災された人々を支援し,社会と連帯して,美しい日本,活力のある日本の再生という大きな目標を実現しましょう。最後になりますが,大学の機能とは,教育,研究,社会貢献にあります。育成された人材とともに学術の成果は社会基盤を整備し,国を創り,活性化し,未来を創造します。その中心機能である教育,人材育成を本日ここに皆さんとともにスタートすることができることを心から感謝して,新年度をスタートしたいと思います。

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