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受賞・表彰

論文がDevelopment誌に掲載され,論文動画データが同誌ホームページトップで紹介される
生命環境科学研究科  小椋 陽介

(受賞日:2010年度)
 笹倉靖徳准教授(筑波大学生命環境科学研究科,下田臨海実験センター)指導の生命環境科学研究科(博士前期課程)生物科学専攻2年小椋陽介氏(笹倉研究室所属)が筆頭を務める論文が,2010(平成22)年11月,英国の国際誌“Development”への掲載が決定し,2011年2月号に掲載されることとなりました。また,その論文の動画データの一つは,同誌ホームページトップで紹介されています。
 “Development”は,発生学において一流の研究のみが発表される歴史と権威のある雑誌で,博士前期課程の学生の研究が発表されるのは希であり,また,同誌のホームページのトップページで紹介されるとなると皆無であり,小椋氏の研究が学問的に大変重要であることが認められた結果と言えます。
 小椋氏は,細胞数が少ない脊索動物ホヤを使い,中枢神経系が構築される過程を観察しました。ホヤは脊椎動物に最も近い無脊椎動物で,脊椎動物と同様に背側に中枢神経系を持ちます。ホヤや脊椎動物の中枢神経系は発生過程において最初は表皮と同じ領域に形成され,その後神経の領域が体内に入り込むという形態形成運動(神経管形成)を起こすことが知られています。小椋氏は,ホヤの中枢神経系が作られる際に,神経系の周りを取り囲んでいる表皮の細胞が特別な運動をすることが大切であることを発見しました。さらに、運動を起こすときの表皮細胞の挙動を最新の研究技術を使い観察し,細胞が運動するときに,細胞分裂を「一時停止」していることを突き止めました。この一時停止を実験的に生じないようにすると,細胞は逆に運動を止めて分裂を進めてしまい,中枢神経系を作るのに必要な運動の時期を逃し,結果として神経系が正しく構築されないことが分かりました。つまり,中枢神経系という組織を正しく構築するためには,表皮の助けが必要であることと,細胞が運動するためには,分裂するという行為を一時的に「待つ」ことが大切であることがわかりました。
 上述のように,ホヤの中枢神経系は脊椎動物と基本的に共通の構造をしており、形成の仕組みもほぼ同じであることが分かっています。今回の発見は,神経系がどのように構築されるのか,ホヤと脊椎動物の共通の原理を理解する上で非常に重要なものです。ホヤが単純な体を持っているという利点を最大限に生かした大発見です。
ホヤの1種。カタユウレイボヤの神経管を閉鎖している時期の胚。緑が表皮細胞,オレンジがその他の細胞の細胞膜を可視化している。細胞は数えられる程度の数しか無く,その形態を詳細に観察することができる。
ホヤの1種。カタユウレイボヤの神経管を閉鎖している時期の胚。緑が表皮細胞,オレンジがその他の細胞の細胞膜を可視化している。細胞は数えられる程度の数しか無く,その形態を詳細に観察することができる。

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