生物・環境

ミトコンドリアゲノム編集によりトマトの雄性不稔遺伝子を確定

研究イメージ画像 (Image by Vink Fan/Shutterstock)

 ゲノム編集技術を活用した新しい品種を開発する基礎的な研究が世界各国で活発になっています。その際、CRISPR/Cas9と呼ばれる技術が頻繁に活用されていますが、これは核ゲノムを改変するもので、ミトンコンドリアゲノムの改変はできませんでした。一方、本研究グループではこれまでに、ミトコンドリアゲノムを改変するゲノム編集技術mitoTALENを開発し、イネ、ナタネ、あるいはシロイヌナズナに適用できることを明らかにしています。本研究では、このmitoTALEN技術をトマトに適応し、トマトでもミトコンドリアゲノム編集技術が可能であることを実証しました。


 本研究グループはすでに、ミトコンドリアゲノム上に存在するorf137という遺伝子が、トマトにおいて正常な花粉をつくることを妨げる働きを持つ可能性を明らかにしています。そこで、この遺伝子をミトコンドリアゲノム編集技術の標的として処理したところ、この遺伝子のみを破壊することに成功しました。また、この遺伝子が破壊されたトマトでは、花粉の稔性が完全に回復することを明らかにしました。つまり、orf137遺伝子は、正常な花粉発達を阻害して雄性不稔性を引き起こす原因遺伝子であることが証明されました。


 本研究成果により、トマトをはじめとする多くの作物で、ミトコンドリアゲノム編集技術を活用した品種開発が進むことが期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
有泉 亨 准教授

東京大学大学院農学生命科学研究科
有村 慎一 准教授

かずさDNA研究所 先端研究開発部
白澤 健太 主任研究員


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