生物・環境

栄養もエネルギーも自分でつくらない微生物「スクナ古細菌」を発見

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(Image by synthetick/Shutterstock)
 これまでに知られている古細菌の中で最も小さなゲノムを持つ種を発見しました。この古細菌は、栄養やエネルギーをつくる遺伝子をほぼ失っている一方、自らの遺伝情報を複製し機能させる能力を保持しています。生物がどこまで単純になれるのかを考える上で、重要な手がかりとなる発見です。

 他の生物に依存して生きる微生物では、不要となった遺伝子が失われ、ゲノム(遺伝情報の総体)が小さくなります。その究極の形であるミトコンドリアや葉緑体では遺伝子の消失が進み、自らの遺伝情報を働かせたり複製したりする能力まで宿主細胞に委ねており、独立した細胞とは言えません。こうした能力を保ちつつ、生物がどこまで遺伝情報を削減できるのかは、よく分かっていませんでした。

 本研究チームは、海洋性微生物を対象とした単細胞ゲノム解析の過程で、未知の古細菌のゲノムを見いだしました。その大きさは23.8万塩基対で、これまで解析された古細菌ゲノムでは最小です。この古細菌は既知のどの古細菌とも遺伝的にかけ離れており、そのゲノムの小ささから、日本神話に登場する極小の神にちなんで Candidatus Sukunaarchaeum mirabile(スクナ古細菌)と名付けました。海洋の遺伝子配列データからは、近縁と見られる配列も多数見つかり、これまで見落とされてきた系統の存在が示されました。スクナ古細菌のゲノムでは、栄養やエネルギーをつくる遺伝子がほとんど失われている一方、遺伝情報を働かせ複製するための主要な遺伝子は保持されていました。本研究は、生物が自らの遺伝情報を働かせ複製する能力を保ちながら、どこまで単純になれるのかを考える上で重要な手がかりとなるものです。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学計算科学研究センター
中山 卓郎 助教

京都大学 大学院農学研究科
原田 亮 特定研究員

東京大学 大学院新領域創成科学研究科
西村 祐貴 助教

山形大学 理学部理学科
野村 真未 助教

海洋研究開発機構 生命地球科学研究部門 海洋生命圏研究プログラム/東北大学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC)/東北大学
矢吹 彬憲 主任研究員/WPI-AIMEC 研究員/教授

掲載論文

【題名】
A hidden archaeal lineage with an ultra-reduced genome retaining only its replicative core
(複製の中核的機能のみを残した超縮小ゲノムを持つ、見過ごされてきた古細菌系統)
【掲載誌】
Current Biology
【DOI】
10.1016/j.cub.2026.09.042

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