医療・健康

黄色ブドウ球菌が抗生物質耐性を獲得・伝搬する仕組みを解明

研究イメージ画像 (Image by Kateryna Kon/Shutterstock)

 抗生物質が効かない薬剤耐性細菌の発生と伝播は、世界中で大きな問題となっています。その代表格ともいえる黄色ブドウ球菌については、菌体がSCCmecと呼ばれる大きな遺伝子群を獲得して、抗生物質メチシリンに対する耐性を持つ黄色ブドウ球菌(MRSA)になることが知られていますが、SCCmecがどのような仕組みで伝播していくのかは、過去半世紀に渡る大きな謎です。


 本研究では、細菌分子遺伝学的手法を用いて、バイオフィルム(微生物がコミュニティーを作って増殖した膜状のもの)が形成された際に、自然形質転換によって異種の間でSCCmecが伝播する仕組みを世界で初めて明らかにしました。具体的には、二成分制御系と呼ばれる環境応答遺伝子群の変異株を網羅的に作成し、①バイオフィルム形成に関わる二成分制御系遺伝子AgrCAとBraSRが、黄色ブドウ球菌の自然形質転換遺伝子の発現に必要であること、②バイオフィルム形成下で自然形質転換遺伝子が発現し、SCCmecが個体に取り込まれ定着すること、③バイオフィルム形成下で、抗生物質に感受性の黄色ブドウ球菌が、別株のMRSAや異種のブドウ球菌からSCCmecを獲得して、MRSAとなることが分かりました。


 加えて、抗生物質の使用が、自然形質転換によるSCCmec獲得の効率に与える影響も示しました。


 本研究成果は、薬剤耐性黄色ブドウ球菌を生み出さない治療方法の確立に向けた基盤的知見となると期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系
森川 一也 教授

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