テクノロジー・材料

巨大圧電効果を発現するナノサイズ局所的運動の解明に成功 ~高い振動数領域における分光法を用いた評価手法~

筑波大学 数理物質系 小島 誠治教授らは、島根大学教育学部 塚田 真也講師との共同研究により、巨大圧電効果を示す強誘電体結晶である(1-x)Pb(Mg1/3Nb2/3)O3 -xPbTiO3(PMNT)について、その鍵となるナノサイズ極性領域についての検討を行いました。光散乱スペクトルにおけるセントラルピークの温度依存性、偏光角度依存性、電場依存性を調べることにより、PMNTのナノサイズ極性領域の存在やその構造についての新しい知見を得ました。

PMNTをはじめとする、巨大圧電効果を示す強誘電体では、以前からその優れた機能性の発現にはナノサイズ極性領域が必要と言われており、すでに多くの研究があります。しかし、ナノサイズで温度変化するナノサイズ極性領域の構造や局所的分極やその役割についてはよくわかっていませんでした。本研究で用いたブリルアン散乱、ラマン分光は結晶だけではなくセラミクス材料やナノ粒子にも適用できるので、今後の圧電材料における優れた機能性発現への指針となるナノサイズ局所構造の評価に役立つことが期待されます。



図 偏光解消散乱スペクトルVHにおけるセントラルピークCPの温度依存性

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