テクノロジー・材料

体の動き出しは機械が、動く方向は人が決めるインターフェースを開発

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(Provided by OCHIAI Yoichi)
 音の合図と同時に肩の筋肉を電気で刺激し、体の「動き出し」は機械が担い、動く「方向」は人が決めるインタフェース「MuscleJockey(マッスルジョッキー)」を開発しました。これにより、意図した方向へ動く正確さを保ちつつ、合図から動き出すまでの時間が63ミリ秒短縮されることを実証しました。

 スポーツの反応動作、ゲームの瞬時の入力、合奏のタイミング合わせなど、「合図が来た瞬間に、準備した動きで応じる」ことが求められる場面は多くあります。しかし、人が合図に気づいてから体が動き出すまでには数百ミリ秒かかります。筋肉に電気を流して動かす筋電気刺激(EMS)を使えば動き出しを速めることができますが、動き出しを機械に委ねると人が意図しない動きになり、逆にすべて人に任せると機械の速さを生かせない、という課題がありました。

 本研究では、人の腕の動きにおいて、肩など体幹に近い関節から肘、手首など遠い関節へと、力が順番に伝わっていく性質に着目し、「動き出し(タイミング)は機械が、動きの方向は人が決める」という役割分担の概念「MuscleJockey(マッスルジョッキー)」を提案しました。このMuscleJockeyを実装したインターフェースでは、EMSで肩の筋肉だけを刺激して動き出しを起こし、ユーザーはあらかじめ意図した方向へ動きを実行します。

 12名を対象とした実証実験では、音の合図と同時に肩へEMSを与えると、動き出しまでの時間が刺激なしの場合より63ミリ秒短くなりました。動く方向に対する誤り率は全体で1.4%であり、動く方向の条件間の差はありませんでした。つまり、方向の制御はユーザーに残したまま、動き出しだけが早くなりました。

 本成果は、機械の速さと人の制御を両立する点から、スポーツやゲーム、音楽の共同演奏などへの応用が期待され、ひいては機械と人の新しい関係性を設計する方向性を示すものです。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学図書館情報メディア系
落合 陽一 教授
鈴木 紫琉 情報学学位プログラム(博士後期課程)

産業技術総合研究所 人間社会拡張研究部門
松原 晟都 主任研究員

掲載論文

【題名】
MuscleJockey: Motor Initiation via Electrical Muscle Stimulation While Preserving User Control
(マッスルジョッキー:筋刺激による運動開始とユーザ制御保持の両立)
【掲載誌】
Proceedings of the 39th Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology(UIST '26)
【DOI】
10.1145/3830398.3830685

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