ALUMNI

足立 佳菜子氏

2017/04

足立 佳菜子(アダチ カナコ)氏

1987年入学・1991年卒業 第二学群比較文化学類

独立行政法人国際協力機構(JICA)地球環境部森林・自然環境グループ自然環境第二チーム 課長

① 現在のお仕事を聞かせてください。

JICAは日本の政府開発援助(ODA)の実施機関として、開発途上国への国際協力をしています。対象となる国や地域、その土地の人々の暮らしに最適な手法やアプローチで課題解決の支援をします。国際協力は多くの専門家や関係者とチームで行い、JICAはそのコーディネーター的な役割を果たします。私は中南米・アフリカ・中近東で行われる生物多様性保全や森林保全などの自然環境保全のプロジェクトの立案・進捗管理・評価などの総括を担当しています。重要な局面では、政府機関の意思決定者に理解を求めるため交渉や報告をしたり、現地のキーパーソンに会って協力を要請したりします。今、世界的な気候変動が大きな問題となっていますが、その主要因の1つに森林の減少・劣化があります。途上国では、木材や燃料の調達、農地開発などのために自国の豊かな森林を過度に伐採してしまうことが少なからずあり、この問題に対応するための国際的な取り組み「REDD+」が始まっています。これは途上国が自国の森林を守ることにより、インセンティブとして資金を得られる仕組みです。JICAは国連機関や各国援助機関とも協力して、途上国政府がREDD+を導入するための計画、政策・制度の策定や、森林資源のモニタリング、人材育成などを支援しています。

② 今改めて,筑波大学で良かったと思うことを聞かせてください。

筑波大学は所属以外の学類で授業を履修できるのがとてもよいと思います。私も学類を問わず周辺領域の授業やゼミに参加しました。同じテーマでも、社会系と国際系の先生が正反対の趣旨の解説をしていたりして、多様で客観的な見方が学べたのはとてもよかったと思っています。卒論の際にも、他領域の先生に質問に行ったり、ご意見をいただいたりしました。自分の関心次第でいろいろな可能性が開けるのは、筑波大学のよいところだと思います。

③ 本学と本学の学生に対してメッセージをお願いします。

日本と開発途上国の研究者が共同で研究に取り組む「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」をJICAと科学技術振興機構 (JST)が共同で立ち上げました。筑波大学も現在グローバル化を推進しているということで、ぜひとも多様で優れた大学の知見を途上国支援に向けていただければと思います。また多くの学生が、在学中や卒業後にJICAの青年海外協力隊に参加しています。この経験をきっかけに国際協力を専門職業として選択する方もいますし、一般企業に就職される方もいます。国内企業でもグローバル化が進んでいますから、グローバルな視点や経験はどこの国で働くかによらず非常に役に立ってくると思います。相手の立場に立てる柔軟な発想、視点を引き続き持っていただきたいです。それから、他国の人から「日本ではどう?」と日本の知見を求められることがよくあります。「知らない」「わからない」とならないように、自国についてしっかり学んでおくとよいと思います。

創基151年筑波大学開学50周年記念事業