水タバコは短時間、屋外や屋内の周囲での使用でも一酸化炭素中毒症例あり
近年、若者を中心に関心が高まっている水タバコに関連した症例報告を世界中から集めて、特徴を整理したところ、屋外など換気が良い環境で水タバコを使用した人や、屋内で水タバコを使用している人の周りにいるだけであっても、一酸化炭素中毒を起こした事例が報告されていることが分かりました。
水タバコ(シーシャ、フーカーなどとも呼ばれる)は、炭火で加熱したタバコ葉の煙を水に通してから吸引する喫煙方法で、中世末期ごろの中東が起源とされています。2000年代初頭から欧米で広がり始め、日本国内でも近年、若者を中心に水タバコへの関心が急速に高まっています。しかし、炭の不完全燃焼に伴う一酸化炭素(CO)中毒などのリスクも指摘されており、東京23区のうち南西部3区を管轄する東京消防庁第三消防方面本部管内では、2018年1月から2023年6月までに、水タバコ使用に関連した急性CO中毒の救急搬送事例が、若者を中心に月1件程度発生していたとの報告もあります。
そこで、本研究では、六つの学術データベースを対象に世界中の水タバコに関連するCO中毒の症例報告を収集して、その特徴を整理しました。
その結果、水タバコに関連した急性CO中毒の症例報告が68例見つかりました。内訳は、使用者の単独発生が41例、複数人での使用による複数症例の同時発生が23例(最大12例が屋内で同時発生)、非使用者と水タバコ店従業員での発生がそれぞれ2例でした。症状は、水タバコ使用に関連した急性CO中毒で多いとされる失神(53%)が最多で、頭痛(50%)、だるさ(44%)、吐き気・嘔吐(38%)、脱力(15%)が続きます。急性CO中毒にはさまざまな症状が出る特徴があり、ふるえ、視覚障害、けいれんなどの症状も報告されていました。症例の4分の1は使用場所を離れてから発症、症例の5分の1は使用時間が1時間未満、症例の5分の1は屋外での使用でした。また、多血症(慢性CO中毒)13例も見つかり、12例で水タバコを毎日使用していました。
本研究から、水タバコの短時間使用や屋外使用、屋内における周囲での使用のようなCO中毒を起こしにくいと考えられる状況でもCO中毒を起こしてしまう可能性があることが分かりました。水タバコを提供する側も使用する側もその危険性を十分に理解することが求められます。そして、特に屋内での使用においては、CO中毒の集団発生事例も高いことから、COモニタの設置や定期的な換気などの対策を十分に行うことが重要です。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
筑波大学医学医療系村木 功 教授
掲載論文
- 【題名】
-
Behavioral and Environmental Factors of Carbon Monoxide Poisoning and Polycythemia due to Waterpipe Smoking: An Artificial Intelligence-Assisted Systematic Review of Case Reports.
(水タバコに関連する一酸化炭素中毒・多血症の行動・環境要因:AI支援による症例報告の系統的レビュー) - 【掲載誌】
- JMA Journal
- 【DOI】
- 10.31662/jmaj.2025-0208