生物・環境
福島第一原発事故で放出された 高濃度放射性セシウム含有微粒子の広域拡散を定量的に解明
2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故で放出された「高濃度放射性セシウム含有微粒子(CsMP)」がどのように拡散したのかを調べるため、福島県内100地点の表層土壌試料を定量解析し、各地点のCsMP沈着量と形成・放出の時期、汚染大気中のCsMP数を初めて算出しました。
福島第一原発事故では「高濃度放射性セシウム含有微粒子(CsMP)」と呼ばれる、水に溶けにくくて放射性セシウムを多く含む直径数ミクロン程度の小さなガラス状の粒子が放出されました。このCsMPはセシウムの濃度が高いため、吸い込んだ場合の健康影響や、環境中でどのように拡散したのかの解明が重要な課題となっていました。
本研究では、福島県内100地点で採取された土壌試料を詳しく調べ、CsMPの量や分布を解析しました。その結果、地域によってCsMPの量が大きく異なり、場所によっては土壌中の放射能の60%以上がCsMPによることが分かりました。
さらに、大気拡散シミュレーションと組み合わせて解析したところ、CsMPは2011年3月15日3:00頃に大量に作られて放出されたことが明らかになりました。そして、CsMPを最大4700個/m3を含む空気の流れ(プルーム)が、福島第一原発を起点として南方向から北西方向に時計方向に回り込んだ3月15日の動きによって、福島県内の広い範囲にCsMPが運ばれたことが分かりました。一方、3月16日0:00以降に放出された放射性プルームにはCsMPが含まれておらず、水に溶けやすい形態のセシウムを含んでいたことも示されました。さらに、CsMPの土壌への沈降は、雨の降り方やプルーム中の粒子数に強く依存することも分かりました。
本研究は、原子力事故で放出される放射性微粒子が環境中へどのように広がるのかを理解する重要な成果であり、将来の原子力災害時の環境リスク評価にも役立つと期待されます。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
筑波大学数理物質系山﨑 信哉 准教授
国立臺灣大學地質科學系
宇都宮 聡 教授
掲載論文
- 【題名】
-
Uncovering Hidden Dispersion Patterns of Radioactive Cesium-Rich Microparticles from Fukushima Daiichi.
(福島第一原子力発電所の原子力災害で放出された高濃度放射性セシウム含有微粒子(CsMP)の初期拡散・分布の解明) - 【掲載誌】
- Journal of Hazardous Materials
- 【DOI】
- 10.1016/j.jhazmat.2026.142180
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