生物・環境

地層の傾きが山地の雨水流出挙動を制御する

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(Provided by YAMAKAWA Yosuke)
 大起伏の堆積岩山地(南アルプス)における雨水の流出挙動が、地層の傾きによって「深い浸透」と「地すべりを介した浅い排水」という二重のプロセスで制御されている可能性を明らかにしました。これに基づき、地層による雨水制御の仕組みとして「構造的地盤システム」という新たなモデルを提唱しました。

 山地における雨水の流出特性の把握は、大規模な土砂災害の予測精度向上のために極めて重要です。特に堆積岩からなる山地では、地層の傾きが水の動きに影響を及ぼすと考えられてきましたが、災害が発生しやすい中規模な流域(流域面積0.1〜10 km2程度)では観測が難しく、その実態は未解明な部分が多く残されています。

 本研究では、南アルプス大井川上流域(静岡県)の隣接する16流域を対象に、無降雨期における河川の流量と水質(電気伝導度)の多地点同時観測を複数期間にわたり実施し、地層の傾きと水の動きの関連を調べました。

 解析の結果、地層の傾く角度が地形の傾斜よりも急な環境では、斜面の向きに関わらず、雨水が地層面に沿った岩盤の割れ目を通じて地中深くへと浸透するため、平時の流量の空間的なばらつきは小さいことが分かりました。一方で、地層の傾きと斜面の向きが一致する「流れ盤」の斜面では、この構造に起因して地すべり地形が発達しており、雨の後には地すべり体内部の亀裂ネットワークを通じて、地中の浅い部分を雨水が動的かつ速やかに排水される傾向が認められました。以上のことから、流れ盤が主となる流域では雨水の貯留能力が低下し、流出の時期変動が大きくなるという特徴が示されました。このような地層による雨水制御の仕組みを統合的にモデル化し、「構造的地盤システム」として初めて提唱しました。

 本成果は、同様の地質を持つ世界各地の湿潤変動帯における土砂災害予測の高度化に貢献することが期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
山川 陽祐 助教

掲載論文

【題名】
Dual control of bedding structure on catchment hydrology: the interplay between direct bedding-parallel recharge and indirect landslide-driven drainage in steep accretionary complexes.
(堆積岩山地における地層構造の二つの水理制御:地層平行方向の直接的な深部涵養と地すべり変動に起因する間接的な排水の相互作用)
【掲載誌】
Catena
【DOI】
10.1016/j.catena.2026.110236

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生命環境系