ALUMNI

三城 眞紀氏

2021/06

三城 眞紀(ミシロ マキ)氏

2009年入学・2013年卒業 社会・国際学群社会学類
[現在の職業(勤務先・役職等)]

家庭裁判所調査官

(1) 現在のお仕事を聞かせてください。

その名のとおり、家庭裁判所で扱う事件の調査をする仕事です。家庭裁判所で扱う事件は、少年事件と家事事件に分けられます。
少年事件の調査の目的は、事実の把握と少年の立ち直り(再非行防止)です。どうして非行をしたのか、その経緯を確認していくことに始まり、家庭環境や交友関係、学業・職業状況など少年を取り巻く環境を把握します。そして、家庭裁判所の審理プロセスで再非行防止のために教育的な働きかけを行います。
家事事件で扱う事件は幅広く、離婚や子どもをめぐる紛争、未成年者の養子縁組、成年後見、遺産分割など、家庭に関する幅広い事件を扱います。家事事件の調査は、法律要件の確認から人間関係の調整など、様々な目的があります。
家庭裁判所で扱う事件は、法律的な問題を整理するだけでは解決しないことが多く、人間関係の調整が必要となります。家庭裁判所調査官の調査では、法律知識だけではなく、行動科学といわれる社会学や心理学、教育学などの知識や技法を用います。
家庭裁判所の仕事では、様々な人・家庭に接します。私は、一つ一つの事件に向き合うことが、やがては人々が生きやすい社会につながると信じています。

(2) 今改めて、筑波大学で良かったと思うことを聞かせてください。

私は茨城出身です。入学前から、幅広い学問の研究機関を備えている筑波大学が実家から通える距離にあることをラッキーだと思っていました。中でも、社会学類のカリキュラムは本当に魅力的でした。
実際に入学して、社会学に触れると、様々な物事の「当たり前」が紐解かれ、隠れた側面が見えて興味深く感じました。3年次には欲張って社会学演習を同時に3つ履修し、学期末に3本のゼミ論文を書いたときは大変でした(笑)。次第に教育学に興味を持ち、4年次には教育学類の講義も受講し、大学院では教育学を専攻しました。専攻した学問を生かせる仕事に就きたいと思い、家庭裁判所調査官を志しました。現在も、筑波大学での学びが役に立っています。
卒業から数年経っても、大学時代の友人と連絡を取り合って「大学時代楽しかったね。」「久しぶりに学食を食べたいね。」などと懐かしい話をします。また、裁判所職員にも筑波大学の卒業生が多く、筑波の話で盛り上がることもありますね。

(3) 本学と本学の学生に対してメッセージをお願いします。

最初から暗い話題で申し訳ないのですが、様々な不安が生まれる人間関係や社会の中で、どうしたら生き抜けるのか、ほとんどの方が悩むのではないでしょうか。
私は、大学在学中も卒業後も、(周囲からは楽しく生きていそうと思われるのですが)悩みながら日々を過ごしてきました。その中で、不安や悩みとどうにか付き合って生きていくには、知識・経験・体力を培うことが必要だと気づきました。それらの土台を作ったのは大学時代です。そして、自分を支えてくれる人も必要だと知りました。大学時代は、何も勉強だけではないのです。意味もなく遊び、話す。人と会いたくなければ一人になる。アルバイトをする。自由に時間を使えるのが大学時代の特権です。努力した時間も、無駄に思える時間も、その全てに意味があります。 筑波大学で過ごす数年間が、みなさんの将来を作ります。その将来が、みなさんにとって少しでも充実したものでありますように。

創基151年筑波大学開学50周年記念事業