ALUMNI

柳沢 知恵氏

2021/06

柳沢 知恵(ヤナギサワ チエ)氏

2001年入学・2005年卒業 芸術専門学群
2005年入学・2007年修了 芸術研究科
[現在の職業(勤務先・役職等)]

シトロエン カラーデザインプロジェクトマネージャー

(1) 現在のお仕事を聞かせてください。

フランスの自動車メーカーで、自動車の色素材のデザインをする「カラーデザイナー」という仕事をしています。エクステリアのボディカラーから、インテリアの「人が触れる部分全般」の素材をデザインし提案をします。
シートクロス、ステアリングはもちろんのこと、天井材や、ラゲッジ表皮なども含みます。トレンド調査や、販売地域の顧客の好みを元に、色のバリエーションも考えます。車の世界観や個性を色と素材で引き立てることが、この仕事の大きな役割です。
また、量産過程において、素材の色合わせや質感の監修も大切な仕事のひとつです。どの部位にどんな素材を使うのかという指示図づくりから、各部品を目標の色に合わせていくこともします。例えば黒い内装といっても、実は素材が違っていたり、部品を製造するメーカーが異なるからです。
エクステリアデザイナー、インテリアデザイナー、商品企画、設計部、そして、各素材メーカーと、日々多くの人と関わりながら仕事をしています。

(2) 今改めて、筑波大学で良かったと思うことを聞かせてください。

大学の入学式でのこと、当時の学長、北原保雄教授が「筑波大学では、ぜひ大学院まで進学してください」とおっしゃっていたことが非常に印象的でした。
当時は、デザイナーを目指して大学院まで修了しようという人は少なく、私自身も学部で卒業し、どこかの企業に就職できれば良いなぁと考えていました。
ですが、ご縁があって、大学院修了まで筑波大学にはお世話になりました。
その後、日本企業に就職し、10年弱でフランス企業に転職しました。こちらにくるまで知らなかったことですが、フランスでは企業デザイナーは基本院卒で、それは就職の条件のひとつでした。
当時の北原教授の入学式でのお言葉は、そんなグローバルスタンダードを見据えたものだったのかもしれないと、後々になってから考えさせられました。
では、大学院では何をしていたかというと、社会人になって日々忙しく働き稼ぎ始めた同級生たちと比べて、有り余る時間と無収入の中で「自ら考え行動する力」を養っていました。
今はフランスで働いていますが、海外では自主性が求められます。そのベースは大学で培われたものだと思います。

(3) 本学と本学の学生に対してメッセージをお願いします。

筑波大学の特色は、緑溢れる広大な敷地内での寮生活と、多岐にわたる様々な専門性の高い学部だと思います。同級生のほとんどが近所に住み、24時間行き来できる環境で育まれる人間関係は、良くも悪くも非常に濃密で、その後の人生に大きな影響を与えてくれました。
でも、疲れてしまったときは、つくばエクスプレスに乗って東京で思いっきり遊ぶことをオススメします。私の学生時代は、東京まで高速バスで2時間という遠い道のりでしたが、辛くなったときはバスに揺られて上京していました。
また、社会人になってからも思い出される講義の多くに、他学部のものがあります。働き始めると、専門知識は増えていくのですが、異なる世界のことを知る機会にはあまり恵まれないので、学生時代に受けた異分野の知識が蘇るのだと思います。
ちなみに私は体育専門学群と、人文・文化学群の講義が好きでした。学生時代に枝葉を広げておくことは、その後の生活を豊かにしてくれるので、自分には関係ないように思える他学部の講義も、面白そうであればどんどん受けてみると良いと思います。

創基151年筑波大学開学50周年記念事業