ALUMNI

小松 俊介氏(TSUKUCOMM Vol.60)

小松 俊介氏 写真

(昭和基地Bエリアにある胎内岩にて撮影)

美術の先生、南極へ行く

筑波大学附属高等学校 美術教諭
小松 俊介(こまつ しゅんすけ)氏

-これまでのキャリアや生活において、筑波大学でよかったと思うこと

 高校の美術では、絵画や彫刻はもちろん、デザインや映像メディアなども含んだ幅広い領域を扱います。私は彫刻が専門で、筑波大学は制作環境がとても充実していました。一人当たりが使えるスペースの広さや自由度の高さは、本当に贅沢だったと思います。
 学群の4年間では、そのまま社会に出て作家になれるのか、不安でした。それで大学院に進学しました。スタートアップのようなことも含めて、卒業後も制作が続けられるような状況を整えたかったんです。現在、そうなっているか、というと、胸を張るほどではありませんが、それなりに活動はできています。作家と教員の2つのアイデンティティを持っているという感じですね。個展も開いています。昨年は、南極に行くことを踏まえた作品を展示しました。

-学生時代の一番の思い出

 前期博士課程の終わりに東日本大震災があって、修了式ができませんでした。教員も学生もどうしたらよいのかわからない中で、とにかくできることから始めよう、ということで、余震が続く中、みんなであちこちの棚をビスで固定する作業にとりかかりました。
 しばらくして、福島県南相馬市の復興プロジェクトで、作品を通した交流や支援を企画しました。そこでの経験は、大学の講義では得られないものでしたし、自分が取り組んでいる芸術というものが、社会とどう関わっているのか、初めて考えさせられました。その時の活動が、本当に復興に役立ったのか、今でも考えてしまうことはありますが、何もせずに悶々としているよりは価値があったと思っています。

-筑波大生に向けてのメッセージ

 もちろん、充実した学生生活を送ることが基本ですけど、大学の外にも足を運んでほしいですね。筑波大では、専門分野に限らずいろいろな授業を受けることができますが、それも1~2年生までで、それ以降は、自分から求めていかないと、外の世界とのつながりを持つことは難しいです。
 学生時代の自分にとって一番大きかったのは、筑波山の麓で制作活動をしていた人の手伝いをした経験です。筑波大とは全然違う文化に触れることができました。また今回、南極への教員派遣プログラムに参加したことは、自分が彫刻で使っている石という素材を捉え直すきっかけになりました。石って、何億年も残るものだし、地球そのものなんですよね。なので、大学で学んだことを客観視するという意味も含めて、外へどんどん出ていくことも、とても大事だと思います。

PODCAST

インタビューのロングバージョンを、筑波大学Podcastでお聴きいただけます。



PROFILE  こまつ しゅんすけ

小松 俊介氏 写真

福島県出身
2014年 大学院人間総合科学研究科博士後期課程芸術専攻修了
筑波大学附属高等学校 美術教諭

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