堀部 安嗣さん(TSUKUCOMM Vol.72)
普遍的で包容力のある住まいの土台をつくる
建築家
堀部 安嗣(ほりべ やすし)さん
-これまでのキャリアや生活において、筑波大学でよかったと思うこと
大学を卒業して間もなく、建築家として独立し、日常的な人々の生活を支えるものとしての住宅をメインに設計をしています。スタジアムやタワーのようなエンタメ的な建築も魅力的ではありますが、個性的な趣向よりも、寛容で、普遍的な暮らしの土台になるような家を作りたいと思っています。
自分はサラリーマン向きではない一方で、純粋芸術で勝負できるほどの才能もないと思っていたので、芸術を学べる総合大学である筑波大を選びました。もともと建築への憧れはありましたが、自分がその仕事に就くとは考えていなくて、環境デザインのコースを専攻しました。環境にはすごく興味があって、今も、建物を作っているというより、環境を作っているという感覚です。
3年生になっても卒業後の進路を決められず、先生に勧められるままに行った建築事務所でのインターンシップが大きな転機になりました。自分で選んだわけではありませんが、そういうふうに導いてくれたのは筑波大での経験だったと思っています。
-学生時代の一番の思い出
2年生の時、スウェーデンにある「森の墓地」という建築作品を見たんです。そこで、ランドスケープと建築との在り方に大きな影響を受けました。自分のやりたいことが可視化できたというか、それは本当に幸運でした。
学生としては、4年間通じて常にアウトサイダー的な立ち位置で、友人とワイワイ騒ぐようなことはなかったですね。日本全体はバブル景気でしたが、つくばはそれに巻き込まれる気配もなく、そのおかげで、自分の感覚が育まれたと思います。
とはいえ、バンド活動は熱心にやっていて、思いっきりドラムが叩けたのは楽しかったです。でも、音楽では生活していけないので、卒業設計はものすごく頑張りました。誰にも手伝ってもらわずに全部一人でやると決めて、ひたすら模型作りやドローイングをやり続けました。それが大学での一番の思い出かな。
-筑波大生に向けてのメッセージ
つくばという場所はとても独特で、そのことが良い面でも悪い面でもあると思うんです。自分にとっての良い面は、社会の流れから無縁でいられたこと、そして、なんといっても、今に続く道筋を開いてくれたことですね。反面、人工的に作られた都市の行き詰まった雰囲気もあって、それは当時から強く感じていました。まちや大学の在り方に対する批判と同時に、良さをどう生かしていくか、という両面を考えることが、4年間の学びが身になるかどうかにもつながっていくと思うんです。そういう意味で、つくばの地域やまちと注意深く付き合っていって欲しいです。
PODCAST
インタビューのロングバージョンを、筑波大学Podcastでお聴きいただけます。
PROFILE ほりべ やすし
神奈川県出身
1990年 芸術専門学群環境デザインコース卒業
建築家
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