生物・環境

ハーレムをつくるハダニは最終氷期に南から日本に渡ってきた ~小さなハダニの雄間闘争から見えたきたダイナミックな歴史~

筑波大学 生命環境系・山岳科学センター 佐藤幸恵助教(テニュアトラック)と津田吉晃准教授、流通経済大学 経済学部 後藤哲雄教授は、国立環境研究所、アムステルダム大学、茨城大学、北海道大学、中国福建省農業科学アカデミー、台湾林業試験所、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)との共同で、日本と近隣諸国に分布するススキスゴモリハダニの雄同士の攻撃性と、集団動態の歴史の推定を行いました。


その結果、これまで本種には攻撃性の異なる2型があることが報告されてきましたが、少なくとも3型あること、ケラマギャップ(沖縄諸島と宮古諸島間に設けられた生物分布を分ける線)以南に分布する攻撃性がマイルドな集団が祖先的な集団であり、攻撃性が弱い集団と強い集団は、それぞれマイルドな集団から2~4万年前と0.5~1万年前に生まれたことが示唆されました。また、寄主植物であるススキの日本への分布拡大の歴史も加味すると、本種は最終氷期やその後に複数回に渡って琉球列島ルートを使って日本に分布拡大した結果、現在見られる3型の地理的分布関係が生まれたと考えられました。




図 雄同士の攻撃性が異なるススキスゴモリハダニ3型の地理的分布関係

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