生物・環境

感覚神経細胞を作る運命決定因子の働きを解明

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 脊椎動物では、感覚神経細胞は、胚の背側の組織である神経板と表皮の境界領域から生じる神経堤細胞およびプラコード(上皮組織)から作られます。本研究グループは、これまで、脊椎動物に最も近縁な海産無脊椎動物であるホヤにおいて、神経堤細胞とプラコードから4種類の異なる感覚神経細胞が作り出され、これらの感覚神経細胞はお互いに運命変換が可能な似た性質を備えていること、これらの感覚神経細胞は全て転写因子POU IV を発現していることなどを報告してきました。一方、POU IV を導入することにより、感覚神経細胞の分化が異所的に誘導されることが知られていましたが、4種類の感覚神経細胞のうち、どれが分化するのかは不明でした。


 本研究では、POU IV を導入した個体において異所的に形成された感覚神経細胞の性質について、単一細胞トランスクリプトーム解析、発生生物学的な解析、情報生物学的な解析などのさまざまな手法を組み合わせて解析し、POU IV が感覚神経細胞の分化に必須な運命決定因子であることを明らかにしました。また、POU IV を導入した個体では、4種類の感覚神経細胞のうちの2種類の性質を併せ持ち、かつ独自の遺伝子発現プロファイルを示す細胞が分化していることを明らかにしました。さらに、本研究のような、単一細胞トランスクリプトーム解析と情報生物学的な解析を組み合わせた研究手法が、リプログラミング(運命決定因子を導入して目的の細胞を作り出す)における細胞の分化状態の評価に対して有効であることも示されました。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
堀江 健生 助教

甲南大学理工学部
日下部 岳広 教授


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