生物・環境

【Nature Index Selection】挑発を受けると攻撃的になる脳内の仕組みを解明(Research highlights 2022年10月)

シュプリンガー・ネイチャーが運営するデータベースサイトNature Indexでは、毎月、主要な82ジャーナルの中から、本学所属の研究者による研究論文1報を、Research highlightsとして選出しています。2022年10月は、本件が紹介されました。
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研究イメージ画像 (Image by colin robert varndell/Shutterstock)

 他者から悪意を向けられると、苛立ったり攻撃的な気持ちになったりします。雄マウスも、ライバルに挑発されると、通常よりも激しい攻撃行動を示すようになることが分かっています。このように、挑発を受けて攻撃行動が激しくなるとき、脳の中では何が起こっているのでしょうか。


 本研究グループはこれまでに、マウスを用いた実験で、他者からの挑発(社会的挑発)を受けたときに、脳内の背側縫線核において、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の入力が増加することを明らかにしています。背側縫線核にグルタミン酸ニューロンの投射を行う脳領域の一つに、不快情動やストレスに関わる外側手綱核があります。今回、この外側手綱核から背側縫線核への投射ニューロンが、社会的挑発を受けることにより活性化することを見いだしました。この神経投射の活動を抑制すると、社会的挑発を受けても攻撃行動が起こらなくなることから、外側手綱核から背側縫線核への興奮性入力が社会的挑発による攻撃行動の増加に関与することが示されました。さらに、社会的挑発による攻撃行動の増加には、背側縫線核の非セロトニンニューロンのうち、腹側被蓋野に投射しているニューロンが関与することが示されました。


 本研究成果により、攻撃行動が過剰になるメカニズムの一端が明らかとなりました。このような知見は、人間の暴力性の問題の理解にもつながると考えられます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学人間系
高橋 阿貴 准教授

慶應義塾大学医学部
田中 謙二 教授

東北大学大学院生命科学研究科
常松 友美 助教


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