生物・環境

生物実験と機械学習による分析から細菌増殖におけるリスク分散の生存戦略を発見

研究イメージ画像 (Image by eLife)

 細菌はさまざまな環境で生育していますが、環境中のどのような要因が細菌増殖に影響を与えるのかは未だに明らかになっていません。本研究では、生息環境中にある栄養成分と細菌増殖の関係を、生物実験と機械学習を組み合わせて明らかにしました。これにより、細菌の生死を予測・制御することが可能になると考えられます。


 本研究では、44種類の栄養成分の組み合わせによる約1000種類の栄養環境条件下で、細菌のモデル生物である大腸菌を増殖させ、その時間経過の記録と栄養環境の詳細を関連付けた、一万個以上の膨大なデータセットを取得しました。このビッグデータに人工知能による機械学習を適用し、どの栄養成分が大腸菌増殖にどのような影響を与えているのかを推定した結果、大腸菌増殖の「遅延期」、「増殖期」と「定常期」における増殖の良し悪しを決める栄養成分が異なっており、「素早く増え始めること」、「速く増えること」と「たくさん増えること」が、それぞれ、窒素源、硫黄と炭素源で別々に決定されることが分かりました。これは、死滅するリスクを分散するための、細菌の生存戦略であると考えられます。


 本研究成果は、細菌の増殖モデルや生存戦略といった生命の普遍原理を解明するだけでなく、細胞増殖を最適化する培地の開発など、食品や医療、工業の分野への貢献も期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
應 蓓文 准教授


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