生物・環境

見た目がよく似た送粉昆虫でも 運ぶ花粉の種類や比率は大きく異なる

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 ハナバチ類やハエ類、甲虫類など見た目がよく似た送粉昆虫は花に及ぼす影響も似ていると考えられがちです。しかし、昆虫の体表花粉を詳しく調べたところ、一見よく似た昆虫の間でも、体表に付着した花粉の種類や比率が大きく異なり、特定の花に対する「忠実度」が著しく多様なことが示唆されました。

 花を訪れる昆虫が運ぶ花粉の量は、体の大きさやプロポーション、それらに伴う行動的特徴に大きく左右されます。そのため、花から花へと飛び回り、植物の受粉を助ける送粉昆虫が花に及ぼす影響は、見た目が似たグループごとに共通すると考えられてきました。しかし、昆虫が花に及ぼす影響は、花粉を運ぶ量だけで決まるとは限りません。昆虫が異なる植物種の花を行き来する場合には、他種の花粉を雌しべに運び込み、受粉を妨げる可能性があります。では、特定の花をどれだけ集中的に利用し、その花粉を運ぶかという「忠実度」も、見た目が似た昆虫どうしで共通しているのでしょうか。

 本研究では、さまざまなグループの昆虫における体表花粉の定量比較から、必ずしもそうではないことを示しました。具体的には、多様な昆虫が訪花するイボタノキを対象に、特定の株の花を訪れた昆虫を昼夜にわたり網羅的に採集し、体表花粉の種組成を比較しました。その結果、同じグループに属する昆虫でも、体表花粉の種類やその比率が大きく異なることが分かりました。

 例えば、夜行性のガや、女王バチや働きバチなどの社会性を持つコマルハナバチは、チョウや社会性を持たないハナバチに比べ、特定の植物種の花粉を多く付けていました。また特定の植物種の花粉への偏りは、同じコマルハナバチでも、雌よりも雄でさらに強く見られました。一方、甲虫のコアオハナムグリは、他の甲虫類よりも多様な植物種の花粉を付けていました。また、ハナアブと他のハエ類はいずれも多様な植物の花粉を付けていましたが、その内訳は大きく異なっていました。

 見た目が似通っていても、運んでいる花粉の種類やその比率が大きく異なるという今回の発見は、送粉昆虫が植物の繁殖や進化に及ぼす影響を理解する上で、重要な知見を提供するものです。

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プレスリリース

研究代表者

寺田 昂平 生物学学位プログラム(博士前期課程)2年次(研究当時)

筑波大学生命環境系
大橋 一晴 講師

掲載論文

【題名】
Heterospecificity of body pollen varies across and within trait-based groups of pollinators
(体表花粉への異種混入度は見た目がよく似た送粉昆虫どうしでも大きく異なる)
【掲載誌】
Arthropod-Plant Interactions
【DOI】
10.1007/s11829-026-10249-2

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