生物・環境

温泉中のマグマ水が海洋プレート起源であることを同位体組成から解明

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(Image by osap/Shutterstock)
 北海道屈斜路カルデラ周辺の温泉や火山噴気に含まれるマグマ水について、直下のプレート運動に伴って同位体組成が変化する様子を数値モデルで計算し、実際のデータと比較しました。その結果、このマグマ水が千島海溝から深さ約125 kmまで沈み込んだ太平洋プレートに由来することが分かりました。

 火山地域の温泉水の多くは、地下に浸透した降水がマグマの熱で温められたものですが、マグマの中にもともとあった水(マグマ水)が含まれていることがあります。マグマ水の起源は一般に、大陸プレートの下に沈み込んだ海洋プレートであるとされているものの、その根拠の多くは、岩石や火山ガスの元素および同位体組成に基づいており、水そのものに対するプレートの沈み込みの影響を直接検証した例は限られていました。そこで本研究では、北海道屈斜路カルデラを対象に、海底に閉じ込められた海水や粘土および造岩鉱物中の水の同位体組成がプレート運動に伴って変化する様子を数値モデルで計算し、実際のマグマ水成分のデータと比較しました。

 その結果、屈斜路カルデラ内の川湯温泉に含まれるマグマ水の同位体組成は、直下の太平洋プレート深度約125kmにおける計算値と一致し、このマグマ水が太平洋プレート由来であることが強く支持されました。また、過去40万年にわたるプレート由来水の総流出量は最低でも94.6km3に及ぶと見積もられ、これと反応したマグマの体積が2,000km3程度以下であればマグマ水の同位体組成は変わらない一方、溶岩ドームの火山噴気に含まれるマグマ水は、気液相分離によって同位体的に変質している傾向が見いだされました。その影響を踏まえて、昭和新山における過去の噴気同位体データを再解析したところ、そのマグマ水もまた太平洋プレート由来であることが明らかとなりました。

 本成果は、地球深部の水循環と火山活動の関連を理解する新たな手がかりになると考えられます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
山中 勤 教授

掲載論文

【題名】
Isotopic evidence for slab-derived magmatic water beneath the Kussharo Caldera, Japan.
(屈斜路カルデラのマグマ水がスラブ由来であることの同位体的証拠)
【掲載誌】
Journal of Volcanology and Geothermal Research
【DOI】
10.1016/j.jvolgeores.2026.108678

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