生物・環境

福島県の化石から、小型の植物食恐竜(イグアノドン類)の存在が明らかに

研究イメージ画像
(服部雅人 画)
 福島県いわき市で見つかった化石が、植物食恐竜のイグアノドン類の胸骨であることが分かりました。全長が3m程度と推定され、国内で見つかったイグアノドン類化石の中では小型です。本化石から、後期白亜紀の東アジア沿岸において、多様なサイズの個体が生息していたことが示されました。

 イグアノドン類は後期ジュラ紀から後期白亜紀にかけて世界的に繁栄した植物食恐竜の一群です。特にアジアは、当時の北米やヨーロッパへの分散に重要な地域であり、日本から見つかる化石は彼らの進化史の理解において重要な貢献を果たしています。国内では、近年その発見例が増加しており、当時の大陸沿岸域に生息していた可能性も指摘されています。中には全長8mに達したとされる大型種の全身骨格が報告されているものの、日本産イグアノドン類化石の多くは歯などの断片的な化石がほとんどであり、その多様性や生態については未解明な点が多く残されています。

 1999年、福島県いわき市アンモナイトセンター内に露出する、浅海成の上部白亜系双葉(ふたば)層群足沢(あしざわ)層大久川(おおびさがわ)部層(約9000万~8800万年前)から骨化石1点が発見されました。この化石は当初、ハドロサウルス類恐竜の胸骨と暫定的に報告されたものの、詳細な研究は行われず、同施設に保管されていました。

 本研究ではこの化石を詳細に調査し、それがハドロサウルス類を含む進化型のイグアノドン類である「棘胸骨(きょくきょうこつ)類」の右胸骨であると同定しました。近縁種との比較から、全長は3m程度と推定されます。同層からはより大型のイグアノドン類(ハドロサウルス類を含む)化石も報告されているため、今回の発見は後期白亜紀の東アジアにおいて、沿岸域で多様な体サイズのイグアノドン類が生息していたことを示す結果となりました。これは当時の沿岸環境の生態系への理解を深める成果と言えます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学生命環境系
田中 康平 准教授
近藤 征海 地球科学学位プログラム(博士後期課程)2年次

福島県立博物館学芸課
吉田 純輝 副主任学芸員

掲載論文

【題名】
An iguanodontian sternal plate from the Upper Cretaceous Ashizawa Formation (Futaba Group) of Fukushima Prefecture, Japan.
(福島県の上部白亜系足沢層(双葉層群)から産出したイグアノドン類の胸骨)
【掲載誌】
Paleontological Research(日本古生物学会英文誌)
【DOI】
10.2517/prpsj.250042

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