生物・環境
世界の陸域炭素吸収の1/3を担う北ユーラシア森林に生じている変化
北ユーラシアが世界の陸域炭素吸収源の3分の1を担うことを複数の独立データセットを用いた解析で確認しました。吸収量は北東部で小さく、西部と南部で大きいことも分かりました。北東部は急速に温暖化が進んでいますが、森林による元々の光合成量が低く、吸収量の増加は大きくありませんでした。
北ユーラシアには世界の森林の約20%が存在し、大気中の二酸化炭素を吸収することで気候変動の緩和に重要な役割を果たしています。しかし、この地域では地球平均を上回る速度で温暖化が進み、森林火災や土地利用の変化も生じています。このような要素が炭素吸収源に及ぼす影響には、大きな不確実性が残されています。
そこで本研究では、衛星観測と地上の観測データに基づく推定、大気中の二酸化炭素濃度を利用した解析、全球の植生モデル、気候変動を予測する最新の地球システムモデルなど複数の独立したアプローチによるデータセットを統合して解析し、北ユーラシアの炭素吸収量の大きさと分布、および気候変動との関係を明らかにすることを目的としました。
その結果、北ユーラシアは年間約4.7億トンの炭素を吸収し、世界の陸域炭素吸収源の約3分の1を担うことが確認されました。また、急速に温暖化している北東部でも炭素吸収量の増加は限定的であり、温暖化の速さだけでなく森林の生産性が、炭素吸収量を左右する重要な要因であることが示されました。
本研究は、将来の気候変動に対する森林生態系の応答を理解し、炭素循環予測の精度を向上する上で重要な知見を提供することが期待されます。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
筑波大学生命環境系MELNIKOVA Irina 助教
国立環境研究所 地球システム領域
横畠 徳太 主席研究員
掲載論文
- 【題名】
-
Land Carbon Sink Distribution in Northern Eurasia is Driven by Climate Change.
(気候変動が左右する北ユーラシアの陸域炭素吸収源分布) - 【掲載誌】
- Global Biogeochemical Cycles
- 【DOI】
- 10.1029/2025GB008971