医療・健康

短時間の運動で記憶力が高まる ~ヒトの海馬が関連する機能の働きが10分間の中強度運動で向上!~

筑波大学体育系の征矢英昭教授、諏訪部和也(大学院生)、米国カリフォルニア大学アーバイン校の Michael A. Yassa准教授らの共同研究グループは、ヒトにおいて、短時間の中強度運動が記憶の成立に不可欠な類似記憶の識別能力を高めることを初めて明らかにしました。 多くの動物実験から、運動は学習・記憶能を司る海馬に有益な効果をもつことが明らかにされてきました。しかし、海馬は脳の中心部に位置する非常に小さな領域であることもあり、ヒトでの検証は進んでいませんでした。類似記憶の識別能力は、出来事に関する記憶の成立に不可欠な能力で、海馬が重要な役割を担っています。今回の研究では、これを評価できる特別な記憶テストを用いることで、短時間の中強度運動後に類似記憶の識別能力が高まるかどうかを検証しました。その結果、10分間の中強度運動後に類似度が高い(難しい)問題の正答率が向上することを見出し、短時間の運動により海馬が司る記憶機能が向上することを、ヒトで初めて明らかにしました。



図 記憶テスト
覚える問題では、192枚の物体の写真を2秒間ずつ見せた。思い出す問題では、覚える問題で出題した物体と同一、類似、無関連いずれかの物体を計256枚提示し、参加者には全く同じか、似ているが全く同じではないか、初めて出てきた新しい物体か、の3択で回答させた。類似物体に対する正答率を類似記憶の識別能力として評価した。類似物体は類似度により3段階に分類した。

PDF資料

プレスリリース
創基151年筑波大学開学50周年記念事業