医療・健康

物事をネガティブに考えるタイプの人は、心臓外科術後のせん妄・昏睡期間が長引く ~性格と医学的な治療経過の関連性~

筑波大学 医学医療系 救急・集中治療医学 井上貴昭教授、大学院生 松石雄二朗、医学医療系 心臓血管外科学 平松祐司教授らの研究グループは、「ネガティブな考えを抱きやすい一方で、それを表出できない傾向を併せ持つ」というタイプD性格の患者は心臓外科術後にせん妄・昏睡期間が長引くことを初めて明らかにしました。

性格とせん妄の関連性はこれまでに少数報告において示唆されてきたものの、臨床における研究は進展していませんでした。本研究グループは、術前の性格判断と術後の意識状態観察を行ったところ、タイプD性格患者は、そうでない患者に比べて、術後のせん妄・昏睡期間が長引きやすいこと、また、さらにうつ症状がある場合、それが、せん妄・昏睡期間に与える影響が有意に高いことを見出しました。この結果は、集中治療を必要とする状況においても、性格などの人格的要因を軽視せず、表現を苦手とする人のうつ症状に寄り添うことの重要性を示しています。



図 タイプD性格とうつ症状とせん妄・昏睡期間の関連性の媒介因子解析
タイプD性格からうつ症状、タイプD性格からせん妄・昏睡期間へはそれぞれ影響を及ぼしている。それらの影響力の関係性から、うつ症状はタイプD性格とせん妄・昏睡期間の関連性を部分的に媒介していることがわかる。

PDF資料

プレスリリース
創基151年筑波大学開学50周年記念事業