医療・健康

難治性血管炎の新たな疾患感受性遺伝子を同定 ~ANCA関連血管炎発症リスクにTERT、DSP遺伝子多型が関連~

(Image by Sergei Drozd/Shutterstock)

抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎は近年、患者さんが増加している、原因未解明の難治性血管炎です。日本人では、ANCA関連血管炎の重要な合併症である間質性肺疾患の合併率が高いという特徴があり、日本人の遺伝的背景による可能性があります。

本研究では、間質性肺疾患が単独で起こる特発性肺線維症の発症リスクに関連するTERT、DSPという遺伝子が、ANCA関連血管炎の患者さんの中での間質性肺疾患発症リスクに関連するのではないかという仮説を検討しました。意外なことに、これらの遺伝子は、間質性肺疾患合併の有無にかかわらず、ANCA関連血管炎そのものの発症リスクに関連することが検出されました。

ANCA関連血管炎発症リスクに関連する遺伝子は、まだごく少数しかわかっておりません。本研究成果は、ANCA関連血管炎の発症リスクに関連する新たな遺伝子を明らかにするとともに、ANCA関連血管炎と特発性肺線維症の発症機構に共通性がある可能性を示唆するもので、分子標的の同定やバイオマーカーの開発など将来の創薬に結びつくことが期待されます。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学 医学医療系 分子遺伝疫学研究室
川﨑 綾  助教
土屋 尚之 教授

関連リンク

医学医療系

創基151年筑波大学開学50周年記念事業