医療・健康

成人男性を対象とした風疹の定期接種制度の利用率を上げるには?~インターネット調査の結果から~

研究イメージ画像 (Image by Love the wind/Shutterstock)

風疹はワクチンで防げる感染症です。しかし、日本では、子供の頃に予防接種を受ける機会がなかった成人男性を中心とした流行が、現在も周期的に起きています。妊婦が感染すると、赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が生じることがあり、「先天性風疹症候群(CRS)」と呼ばれます。


妊婦の感染を防ぐには、男性も含めた予防対策が重要です。このため、過去に風疹の予防接種を受けたことがない1962年度から78年度生まれの男性を対象とした風疹の定期接種制度が2019年度から始まりました。初年度は1972年度から78年度生まれ(41~47歳)の男性ほぼ全員に、居住する自治体から、無料の風疹抗体検査と抗体が十分でない場合に無料の予防接種を受けられるクーポン券が郵送されました。しかし、利用率は2割と低迷しました。本研究では、どうすれば利用率が向上するのか、その関連要因を探るため、インターネットによる質問票調査(20年3月)を行いました。


回答を得た41~47歳の男性1680人のうち、19年度に風疹のクーポン券が届いたことを認識していた人は51%、抗体検査を受けた人は26%、予防接種を受けた人は6%でした。教育歴や婚姻状況にかかわらず、風疹抗体検査を受けた人では「政府が風疹の予防接種を勧めていることを知っている」、「抗体検査を受けた知り合いがいる」、「子供の頃に予防接種を受ける機会がなかったことを知っている」という特徴があることが分かりました。これらの特徴を持つ人は持たない人に比べ、クーポン券が届いたことも認識していました。さらに、「予防接種歴を母子手帳で確認できる」人や「直近のインフルエンザ予防接種を受けた」人も、風疹抗体検査を受ける傾向がありました。また喫煙者は非喫煙者と比べ、クーポン券が届いていないと回答しがちでした。


2月4日は風疹の日でした。成人男性に風疹の定期接種制度を知ってもらうこと、制度を知り合いに広めてもらうこと、職場の健康診断などで誰でも抗体検査を受けやすくすることで、利用率向上につながる可能性があります。


PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系 国際社会医学研究室
堀 愛 助教

国際医療福祉大学大学院
和田 耕治 教授

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