医療・健康

メタボリックシンドロームを制御する代謝産物センサー分子を発見

研究イメージ画像 (Image by Kateryna Kon/Shutterstock)


 メタボリックシンドロームの病態は、これまでインスリンを中心としたホルモンの働きの異常として説明されてきました。しかし、肥満の肝臓でインスリンの働きに問題が生じると糖尿病になることは説明できる一方、脂肪の合成が進んで脂肪肝になることはうまく説明できないなど、問題点も指摘されています。本研究では、細胞内の代謝の過程で生じる代謝産物とそれに反応する代謝産物センサー分子を用いると、メタボリックシンドロームの病態が適切に説明できることを見いだし、これが新しい治療標的になり得ることを示しました。


 本研究では、2つの代謝産物、糖を使ったエネルギー代謝と連動するNADHと、脂質を使ったエネルギー代謝と連動する脂肪酸CoAのバランスが重要で、それを認識するセンサー分子CtBP2が代謝を調節していることを明らかにしました。すなわち、健康な状態では、CtBP2はNADHと結合して活性化しており、肝臓では糖新生や脂質合成を抑え、糖尿病や脂肪肝にならないように働きますが、肥満になると、脂肪酸CoAが肝臓内で増加してCtBP2の機能を抑制し、糖新生や脂質合成が増加し、糖尿病や脂肪肝をもたらします。このメカニズムは、CtBP2の分子構造に基づくNADHや脂肪酸CoAの結合状態の解析からも裏付けられました。さらに、肥満の肝臓でCtBP2を活性化すると糖尿病や脂肪肝が劇的に改善することが分かりました。


 本研究は、これまでにない形で代謝を理解するものであり、メタボリックシンドロームの新しい治療法開発の可能性を示唆しています。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学 医学医療系 内分泌代謝・糖尿病内科
関谷 元博 准教授
島野 仁 教授


東京大学 大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻
津本 浩平 教授

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