医療・健康

メタボリックシンドロームに関わるリスク要因~非肥満者と肥満者の比較分析~

研究イメージ画像 (Image by Lightspring/Shutterstock)


 メタボリックシンドローム(MetS)は、心疾患や脳血管疾患などの循環器疾患を発症させる危険因子が重複した病態を指します。日本では、内臓脂肪の蓄積を重視する観点から腹部肥満を判定の必須条件とし、加えて高血圧、高血糖、脂質異常のいずれか(以下、MetS構成因子)を複数保有する状態をMetSと定義しています。そして、特定健康診査(40〜74歳が対象)で肥満(腹囲または体格指数BMIの判定)かつMetS構成因子を複数保有していると判定されると、生活習慣の改善支援が行われます。一方で、支援の対象外である非肥満者でも、MetS構成因子を複数保有していると、循環器疾患の死亡率や発症率が高いことが多くの研究で報告されています。しかし、非肥満者がMetS構成因子を複数保有することに関係する要因については、十分に明らかにされていませんでした。


 本研究では、日本人の特定健康診査データ(4万7172人、40~64歳)を用いて、非肥満者と肥満者それぞれについて、MetS構成因子を複数保有するリスク要因を検討しました。


 その結果、非肥満者および肥満者いずれも、加齢、性別(男性)、20歳時から10kg以上の体重増加、喫煙、歩行速度が遅いこと、食べる速さが速いこと、1日あたりの飲酒量が多いことが、MetS構成因子の複数保有に関わるリスク要因でした。また、非肥満者は肥満者に比べ、加齢、男性、1日あたりの飲酒量が多いこと、20歳時から10kg以上の体重増加が、高リスク要因であることが示唆されました。一方、定期的な運動の欠如は、肥満者でのみ、MetS構成因子の複数保有との関係を認めました。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学体育系
武田 文 教授

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