医療・健康
心理的ストレスの原因を解決しようとする行動がチームや選手の個人を成長させる
(Image by matimix/Shutterstock)
中山 雅雄 教授
東京成徳大学 健康・スポーツ心理学科
夏原 隆之 准教授
チーム内での人間関係は心理的ストレスの一つで、スポーツ活動やチームのパフォーマンスに悪影響を及ぼすものとされていました。しかし近年、心理的ストレスは必ずしもネガティブなものではなく、ストレスに適応することによって精神的成長が促されることが分かってきました。そこで本研究では、高校生サッカー選手の協力を得て、①チームとしての自信の程度、②人間関係に対するストレスレベル、 ③人間関係に関するストレスをどのように捉えているか、④それに対してどのように対処するか、⑤ストレス反応、の5項目について、質問紙を用いて調査を行いました。
その結果、競技レベルの高い選手は、チームメイトとの人間関係に関するストレスに対して、その原因を建設的に捉え解決しようと考え、そのために必要な努力を行う傾向がある一方、平均的な競技レベルの選手は、ストレスの原因ではなく、ストレスによってもたらされる自分の感情をコントロールすることに重点を置いて対処する傾向にあることが明らかになりました。
また、競技レベルの高い選手は、平均的な選手と比較して、チームとしての自信の程度を示す集団効力感が高いことが分かりました。以上より、チームの自信向上や自己の成長のためには、問題の解決に取り組む行動が重要であることが示唆されました。
心理的ストレスに対する認知・対処プロセスについてより深く理解することで、直面する問題に対して柔軟に対応する心理サポート方法の開発につながることが期待されます。
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プレスリリース研究代表者
筑波大学体育系中山 雅雄 教授
東京成徳大学 健康・スポーツ心理学科
夏原 隆之 准教授
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