医療・健康

ノンアルコール飲料の提供で飲酒量が減少することを世界で初めて実証

研究イメージ画像 (Image by Stockah/Shutterstock)

 ノンアルコール飲料の提供により飲酒量が有意に減少すること、その効果は提供終了後8週間後も持続していることを初めて見いだしました。また、この飲酒量減少効果には、ノンアルコール飲料によるアルコール飲料の「置き換わり」が関わっている可能性が示唆されました。

 過剰なアルコール摂取は世界的な課題の一つで、国連の持続可能な達成目標(SDGs)にも含まれています。過剰なアルコール摂取を減らすための対策として、アルコールテイスト飲料、いわゆるノンアルコール飲料の利用が挙げられますが、ノンアルコール飲料の提供が及ぼす飲酒量への影響についての研究データはこれまでありませんでした。


 今回、アルコール依存症の患者などを除いた20歳以上の成人を対象に研究を行いました。研究参加者123人を介入群と対照群に分け、介入群にノンアルコール飲料を12週間提供しました。その結果、飲酒量の低減は、対照群と比較して介入群で有意に大きく、その効果が提供 8 週間後も持続していることが分かりました。介入12週目時点における介入群の飲酒量は、介入前と比較して1日あたり純アルコール換算で平均11.5 g減少していました。また、介入群のノンアルコール飲料摂取量の増加と飲酒量の減少とに相関が見られ、ノンアルコール飲料がアルコール飲料に置き換わって摂取された可能性が考えられました。


 この結果から、過剰なアルコール摂取を減らすための対策として、ノンアルコール飲料が有用であり、ノンアルコール飲料が減酒のきっかけになる可能性が明らかになりました。アルコール摂取を減らすための有効性が科学的に検証された方法が明らかになることで、過剰なアルコール摂取をしている個人への介入、政策立案などを通した社会貢献につながると期待されます。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系
吉本 尚 准教授

健幸ライフスタイル開発研究センター センター長

掲載論文

【題名】
Effect of provision of non-alcoholic beverages on alcohol consumption: A randomized controlled study.
(ノンアルコール飲料の提供がアルコール摂取に及ぼす影響:ランダム化比較試験)
【掲載誌】
BMC Medicine
【DOI】
10.1186/s12916-023-03085-1

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