ノンアル飲料の単回提供で短期的な飲酒量の減少効果を確認
ノンアル飲料の提供は飲酒量の減少に有効な手段として指摘されています。本研究では、1ケースのみの単回提供であっても短期的に飲酒量を減少させる効果が確認されました。これにより、低コストかつ職域にも導入しやすい減酒支援策となる可能性が示されました。
過剰なアルコール摂取は世界的な課題の一つで、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にも含まれています。働く世代は特に飲酒率が高く、過度な飲酒は労働生産性の低下にも寄与することから、職域での減酒対策が重要です。過剰な飲酒量を減らすための対策として、アルコールテイスト飲料、いわゆるノンアルコール飲料(以下、ノンアル飲料)の利用が挙げられます。本研究チームではこれまでにアルコール依存症の患者などを除いた20歳以上の成人に、ノンアル飲料を1回当たり3ケース(1ケース 350 ml 缶 24本)、計3回提供したところ飲酒量が有意に減少することを確認しています。
一方で、職場での健康増進プログラムは、コストや時間が大きな障壁になります。本研究では、より少ない量のノンアル飲料(1ケース)を一度だけ提供する形でも減酒効果が認められるかどうかを検証しました。提供するノンアルコール飲料の量を減らすことで、経済的・物流的な負担を軽くし、実際に導入しやすくなるためです。
アルコール依存症の患者などを除いた20歳以上の成人24人が参加し、すべての参加者にノンアル飲料を1ケース提供しました。その結果、ノンアル飲料の消費量の増大と共に、飲酒量が減少することが観察されました。また、研究期間を通じて、アルコール飲料とノンアル飲料を合わせた総摂取量に違いは認められなかったことから、この減酒効果はアルコール飲料の代替としてノンアル飲料が摂取されたことで生じる「置き換え」に起因している可能性が示唆されました。一方で、ノンアル飲料の消費量は徐々に減少し、それに伴い提供後5週目で有意な減酒効果は消失しました。以上のことから、ノンアル飲料の単回提供は大量飲酒する労働者における飲酒量削減の簡易かつ有効な戦略となり得ることが示唆された一方、長期的な減酒効果の持続には異なる対策が必要であることが明らかとなりました。
PDF資料
プレスリリース研究代表者
筑波大学医学医療系/健幸ライフスタイル開発研究センター吉本 尚 准教授
筑波大学体育系/健幸ライフスタイル開発研究センター
土橋 祥平 特任助教
掲載論文
- 【題名】
-
A brief provision of non-alcoholic beverages reduces alcohol consumption: A pilot, single-arm study.
(短期間のノンアルコール飲料提供は飲酒量を減少させる:パイロット単群試験) - 【掲載誌】
- Heliyon
- 【DOI】
- 10.1016/j.heliyon.2026.e44519
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