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「パラレルワールドの一方だけが極端に変化することはない」ことを証明

研究イメージ画像 (Image by Philipp Tur/Shutterstock)

 理論物理学における超弦理論によると、パラレルワールドが存在することが予想されています(ミラー対称性予想)。これら2つの世界(AサイドとBサイド)の違いは、それぞれの世界に隠されている6次元の図形(AとB)の違いであるとされていますが、これらの図形は極めてよく似ている上、目に見えないため、理論上、わたしたちはどちらの世界に住んでいるかを区別することはできません。これまでに、図形Aの性質についての研究が盛んに行われ、一定の条件下ではその内部では極端な変化(爆発)は起こらないことが知られています。


 ところが近年、図形AとBはある法則に従って連動しており、見かけ上は異なる部分どうしが対応していることが発見されました。ただし、その連動の内容や程度はよく分かっておらず、図形Bの性質についての研究はまだ進んでいません。


 本研究では、図形Bの挙動も、図形Aと同様の性質を持つかどうかを数学的に調べました。その結果、Aサイドに関する知見をBサイドに転写することに成功し、図形Bの内部でも、一定の条件下では爆発は起こらないことを証明しました。


 本研究成果は、これまで直感的に予想されていたAサイドとBサイドの世界の類似性の一つに数学的な証明を与えるものです。この定理を証明するために、いくつかの仮定を置いていますが、今後、これらの仮定がなくてもこの定理が成立するかどうかを解明することを目指します。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学数理物質系
山本 光 准教授

掲載論文

【題名】
An ε-regularity theorem for line bundle mean curvature flow.
(線束平均曲率に対するイプシロン正則性定理)
【掲載誌】
The Asian Journal of Mathematics
【DOI】
10.4310/AJM.2022.v26.n6.a1

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