医療・健康

日本の乳がんサバイバーにおける帯状疱疹の発症しやすさを詳細に検討

研究イメージ画像
(Image by DesignPrax/Shutterstock)
  日本人女性で最も身近な乳がんのサバイバーにおける、帯状疱疹の発症しやすさは詳細に研究されていませんでした。医療レセプトデータを解析し、乳がんサバイバーが同年齢の一般女性と比べ、帯状疱疹をいつ発症しやすいか、どのような治療を受けている人が特に発症しやすいかを検討しました。

 乳がんは日本人女性に生じるがんの第1位で、生涯で9人に1人がかかるとされています。一方、帯状疱疹は生涯で3人に1人がかかるとされており、これまでの研究で、乳がんに罹患した方は帯状疱疹が発症しやすいことが示唆されていました。しかし、乳がん罹患後いつの時期に帯状疱疹を発症しやすいのか、また、乳がんの治療によって帯状疱疹の発症しやすさが異なるかについては十分に検討されていませんでした。

 本研究では、株式会社JMDCが全国の健康保険組合から収集している医療レセプトデータ(匿名加工情報)を解析し、乳がんサバイバーが、同年齢の一般女性と比較して、帯状疱疹ならびに帯状疱疹後神経痛を発症する危険性(リスク)がいつ高くなり、また、どのような治療を受けている人が特に発症しやすいかを検討しました。

 2万3169人の乳がんサバイバーと9万2801人の同年齢の一般女性を比較した結果(いずれも年齢中央値は49.4歳)、乳がんサバイバーは、最大10年間の追跡期間中、平均的には、帯状疱疹の発症リスクが1.57倍、皮疹が治った後も続く帯状疱疹後神経痛は同1.70倍高いことが明らかになりました。さらに、発症リスクは乳がんの診断から1年以内が1.90倍と最も高く、その後は徐々に低下するものの、一般女性よりは高い状態が持続しました。治療ごとでは、アントラサイクリン系の抗がん剤を使用した乳がんサバイバーにおいて、発症リスクがより高いことが分かりました。

帯状疱疹はワクチンによる予防が可能です。そして、発症だけでなく、帯状疱疹後神経痛などの重症化予防にも有効です。本研究は、乳がん診断後の健康管理において帯状疱疹予防を考慮し、年齢、治療内容、免疫状態に応じてワクチン接種について医療者と相談する重要性を示すものです。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学医学医療系 社会医学グループ
岩上 将夫 教授

掲載論文

【題名】
Herpes zoster risk among female survivors of breast cancer in Japan
(日本の女性乳がんサバイバーにおける帯状疱疹のリスク)
【掲載誌】
Breast Cancer Research
【DOI】
10.1186/s13058-026-02345-1

関連リンク

医学医療系