社会・文化

外国人生徒を含む保健体育の学習指導において教師が意識する役割を解明

研究イメージ画像
(Image by gbbot/Shutterstock)
 外国人生徒を含めたインクルーシブ教育の実現は、日本の学校教育における重要な課題の一つです。本研究では、保健体育学習において、外国人生徒に対して、高等学校の日本人教師が、自らの役割や責任をどのように位置付けているかを、インタビュー調査により明らかにしました。

 近年、日本の学校では、日本語指導を必要とする外国人生徒が急増しています。そうした日本語を第二言語とする生徒を含めたインクルーシブな教育は、すべての生徒が複数の言語に触れ、新しい文化や歴史、そして多様性を学ぶ機会をもたらし、認知能力の強化に役立つことが指摘されています。特に体育学習は、身体教育を通して、公平、規律、敬意、チームワークなどを学ぶだけでなく、国や文化、宗教を超えて生徒たちを結びつけ、平和や寛容、相互理解を促すことのできる重要な場です。

 本研究では、日本の高等学校の保健体育教師が授業で外国人生徒を指導する際に、教師自身が自らの役割や責任をどのように位置づけているかを、インタビュー調査により質的に明らかにしました。その結果、①外国人生徒への安全な学習環境の確保、②外国人生徒の学習の適切な評価、③教師であると同時に、ホストペアレントとしての責任(健康管理や心身のサポート)、という3つの点が意識されていることが分かりました。

 今回の成果から、日本の高等学校の保健体育学習において外国人生徒を含めたインクルーシブな教育を実現していくためには、国や地方自治体の教育システムとして、指導計画や評価、教師の職務等、外国人生徒の学習に対する明確で焦点化された指針を設定する必要があることが示されました。

PDF資料

プレスリリース

研究代表者

筑波大学体育系
佐藤 貴弘 教授
片岡 千恵 准教授

掲載論文

【題名】
Japanese health and physical education teachers' positioning in teaching Japanese language learners in high school physical education.
(日本の高等学校保健体育教師における体育学習での外国人生徒への指導のポジショニング)
【掲載誌】
Physical Education and Sport Pedagogy
【DOI】
10.1080/17408989.2024.2374272


関連リンク

体育系