テクノロジー・材料
劣化したコンクリート構造物の性能を予測する手法を開発
近年、建設から40~50年以上を経たコンクリート構造物が増え、それらの劣化診断や維持管理が喫緊の課題となってきています。本研究では、人的労力や費用を効率よく活用するための維持管理マネジメントに資する技術の一つとして、コンクリート構造物の劣化状況を予測する手法を開発しました。
コンクリート構造物の主な劣化要因として、コンクリートの中に入っている鉄筋の腐食が挙げられます。鉄筋が腐食すると、腐食生成物を析出して体積膨張を起こし、コンクリートにひび割れを発生させます。従来、この現象を実験的に再現させるためには、暴露実験や、鉄筋に強制的に通電させる電食実験が行われています。しかし、これらの実験方法では数ヶ月~数年の期間を要したり、意図したような劣化が得られないことがあります。本研究グループはこれまで、この現象を数日間で模擬できる実験技術を開発し、鉄筋腐食膨張によりひび割れが発生したコンクリートの性能を系統的に調べてきました。
今回、鉄筋とコンクリートの相互作用である付着性能に着目し、コンクリートのひび割れ幅を主要因子とした付着実験から、ひび割れ幅を入力値とした付着強度の劣化予測式を提案しました。
コンクリートのひび割れは、コンクリート構造物の劣化程度を知る手がかりとなる最も簡易な情報であり、本手法は、これを利用した迅速な劣化診断技術につながると考えられます。
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プレスリリース研究代表者
筑波大学システム情報系金久保 利之 教授
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