テクノロジー・材料

超音波診断における造影気泡群による超音波の減衰を表す数理モデルを構築

研究イメージ画像 (Image by wangmando/Shutterstock)

 超音波診断とは、超音波を患者の体内に向けて発射し、反射してきた信号を使って、肝臓や腎臓などの臓器を観察する技術です。さらに詳しく病状を調べたい場合には、超音波造影剤という気泡(マイクロバブル)を静脈に注射すると、気泡の振動により超音波が増幅され、診断画像がより鮮明になります。この気泡は、拍動している心臓を通過する際に壊れないように、脂質などで構成された膜で覆われています。このような気泡は、造影剤としてだけではなく、ドラッグデリバリシステムへの応用も期待されていることから、これまで、膜の構成や性質について、分子レベルでの研究が盛んに行われてきました。同時に、気泡の物理的な挙動に関する解析も進んでいます。しかし、これまでに提案されている、気泡の動き(振動)を表す方程式では、わずか1個の気泡しか扱うことができず、たくさんの気泡が投与される超音波診断には応用できないという問題がありました。


 そこで本研究では、液体中における、膜で覆われたたくさんの気泡の動きを表す方程式を、新たに導出しました。その結果、気泡を覆う膜の伸縮と周囲の液体の粘性により超音波が減衰すること、とりわけ、膜の伸縮が超音波を著しく減衰させることを発見しました。この方程式により、膜と液体の物性値を用いて、超音波の伝播の様子を予測することが可能となりました。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学システム情報系
金川 哲也 准教授

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