テクノロジー・材料

選択的カラーイメージング法を用いた流体混合現象の新しい計測手法を開発

研究イメージ画像
(Image by Jamlong_cmi/Shutterstock)
 空間に浮上、合体させた2つの液滴内の流れと流体分布の両方を、蛍光発光粒子を用いて可視化する計測技術を開発しました。これにより、各液滴内部の流体の移動を計測したところ、液滴が合体する際の表面振動によって引き起こされる内部流動が、流体の混合を促進させることが明らかになりました。

 一般に、液体を扱う際は、容器に入れなくてはなりません。しかし、超音波を用いると、直径数mmの液体(液滴)を複数個、空間に浮かせて、容器の影響を受けずにこれらを混ぜることができる超小型試験環境「Lab-on-a-drop」が得られます。本研究では、このLab-on-a-dropにおいて、小さくて簡単には混ざらない2つの液滴を合体させる(混ぜる)技術、および、それらの混ざり具合を測る方法(選択的カラーイメージング法)を開発しました。


 混ぜる技術としては、7×7の超音波振動子から、位相をずらして超音波を照射することで、任意の場所に液滴が浮遊可能なポイント(焦点)を作り出す、超音波フェーズドアレイを用いています。これにより、同一種類の液滴2つを同時に浮かせて、これらを衝突、合体させることに成功しました。


 混ざり具合を測るためには、それぞれの液滴を構成する流体の動きを判別する必要があります。ここでは、赤と緑の蛍光発光粒子を採用しました。一方の液滴には紫外光を照射すると赤く蛍光する粒子を、もう一方の液滴には緑に蛍光する粒子を入れて、液滴が合体した際の各蛍光粒子の動きを高速度カメラを用いて、それらの混ざり具合を詳細に撮影しました。合体の際に生じた界面振動による流体の混ざり具合と、分子拡散による混ざり具合の違いを、混合に要する時間スケールに基づいて分析したところ、界面振動による混合が支配的であることが明らかになりました。本研究成果は、Lab-on-a-dropデバイスの応用とさらなる発展に寄与するものです。


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プレスリリース

研究代表者

筑波大学システム情報系
金子 暁子 准教授

本田 恒太(システム情報工学研究群構造エネルギー工学学位プログラム)

工学院大学工学部機械工学科
長谷川 浩司 准教授


掲載論文

【題名】
Coalescence and mixing dynamics of droplets in acoustic levitation by selective colour imaging and measurement.
(音響浮遊における液滴の合体・混合ダイナミクスの選択的カラーイメージングと計測)
【掲載誌】
Scientific Reports
【DOI】
10.1038/s41598-023-46008-z

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