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無人航空機によるリアルタイム映像監視システムの品質設計手法を開発

研究イメージ画像
(Image by Below the Sky/Shutterstock)
 無人航空機(UAV)のフライトシミュレーターを活用し、仮想的な環境で録画した映像データを用いて、UAV映像監視システムの正確な品質評価を実現する手法 SPADE を開発しました。実システムを利用できない開発初期段階において異なる品質指標のトレードオフを解析して設計を支援します。

 計算機を搭載した無人航空機(Uncrewed Aerial Vehicle, UAV)映像監視システムは、人が直接侵入することが難しい場所などの状況をリアルタイムにモニタリングすることができます。しかしながら、計算機、UAV、ネットワーク、監視ソフトウェアを適切に統合し、高品質で信頼性の高い映像監視システムを設計するのは容易ではありません。特に、現場にシステムを導入する前の初期設計段階では、システムの動作に影響を与えるさまざまな不確実要因を考慮した品質評価が困難でした。本研究では、実際のUAV映像監視システムの運用現場に極めて近い状況を作り出し、この仮想的な環境でUAVを飛行させて取得した映像を用いることで、実環境での評価ができなくても、詳細な品質評価を可能にする手法 SPADE を開発しました。

 SPADEはUAVのフライトシミュレーターを活用して仮想的な映像を収集します。録画した映像をUAVに搭載する実計算機で処理し、その処理精度や性能、消費電力を測定します。これらの情報をシステムの状態遷移モデルに入力し、品質評価とトレードオフの解析を行います。これにより、例えば、UAVでリアルタイムに物体を検出する際に、入力映像の解像度の違いがどのようにシステムの品質に影響を与えるかを評価できます。

 本手法はさまざまなUAV映像監視システムの設計に活用可能です。今後は、複数のUAVが連携するような複雑で大規模なシステムの設計を効率化する手法の開発に取り組みます。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学システム情報系
町田 文雄 准教授
張 清洋 情報理工学位プログラム(博士後期課程)2年次

掲載論文

【題名】
SPADE: Simulator-assisted Performability Design for UAV-based Monitoring Systems
(SPADE: シミュレーター支援によるUAVモニタリングシステムの性能可用性設計)
【掲載誌】
Future Generation Computer Systems
【DOI】
10.1016/j.future.2025.107967

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