テクノロジー・材料

燃料電池内部の水分状態を短時間で診断する計測手法を開発

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(Image by asharkyu/Shutterstock)
 燃料電池の性能や寿命は電池内部の水分状態に左右されます。この状態を評価する従来手法を改良し、計測条件を限定することで、一定の精度を保ちつつ、計測時間を大幅に短縮しました。これにより内部状態を診断し、運転条件を自動で切り替える制御を行ったところ、電池内部の乾燥抑制に成功しました。

 固体高分子形燃料電池は、発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンな発電技術です。その性能と寿命は内部の水分の状態に大きく左右され、水が滞留する「フラッディング」や、電解質膜(イオンのみを通す膜)が乾く「ドライアウト」を防ぐには、運転中の電池の内部状態を知る必要があります。そのための手法の一つである電気化学インピーダンス分光法(EIS)は、電池に微弱な交流電流を加えて内部の抵抗成分を評価するものですが、広い周波数範囲を分割して測るため計測に数十秒以上かかり、状態が刻々と変わる運転中の診断には向きませんでした。

 本研究では、計測する周波数の範囲と点数を絞り込み、これまで41点で行っていた内部計測を、わずか6点で行う手法を提案しました。従来のEISの結果と比べたところ、幅広い周波数を測定するよりも、インピーダンス(抵抗)の変化をバランスよく捉える周波数の組み合わせを選ぶ方が、評価精度が高くなることが分かりました。

 さらに、計測・解析・制御を一括して行うプログラムを開発し、算出した抵抗値を指標とした電池運転の制御を実装しました。その結果、電解質膜の乾燥と空気の拡散不良を検知して改善できることを実証しました。

 本手法により、装置を複雑にすることなく、運転中の燃料電池の内部状態をリアルタイムに診断・制御することが可能となります。今後は計測時間のさらなる短縮と周波数の最適化を進め、燃料電池システムの実用的な診断・制御技術の確立を目指します。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学システム情報系
秋元 祐太朗 助教

掲載論文

【題名】
Real-Time PEMFC Diagnosis Using Electrochemical Impedance Spectroscopy Under Limited Data Conditions
(限られたデータ条件下での電気化学インピーダンス分光法によるPEMFCのリアルタイム診断)
【掲載誌】
International Journal of Hydrogen Energy
【DOI】
10.1016/j.ijhydene.2026.157623

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