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歩行に近い速度で行う「スローランニング」でも10分で脳の前頭前野が活性化し、快適な気分と認知機能が向上する

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(Image by WPixz/Shutterstock)
 歩行に近いほど非常にゆっくりとしたランニング(スローランニング)を10分間行うことで、快適な気分と高次の認知機能である実行機能が向上することを明らかにしました。また、その神経基盤として、左前頭前野亜領域の活性化が関連していることを明らかにしました。

 運動が脳に作用し、気分や認知機能を高めることが近年明らかにされつつあります。しかし、その多くは実験室で運動強度を調整しやすいペダリング(自転車こぎ)運動による知見であり、全身をリズミカルに使うランニングがヒトの脳に及ぼす効果や、効果が得られる最小限の運動強度・速度については十分に明らかになっていませんでした。

 そこで本研究では、トレッドミルを用いて運動強度を厳密に規定し、歩行に近いごくゆっくりとした速度(時速約3〜6km)で行う10分間のランニング(スローランニング)が、前頭前野が担う認知機能と気分に及ぼす影響を、機能的近赤外分光分析法(fNIRS)を用いて調べました。この速度は、走っている最中に非常に楽だと感じるほど遅く、その運動強度は最高酸素摂取量の約35%に相当する「超低強度」に分類されます。

 その結果、わずか10分間のスローランニングによって、高次の認知機能である実行機能(目標に向かって行動や意識を制御する能力)を反映する課題の処理時間(ストループ干渉時間)が短縮し、本人の快適度と覚醒度がともに高まりました。その際、脳内では、実行機能や気分の調節に関わる前頭前野亜領域(左背外側前頭前野・左前頭極)の活動が高まっていました。さらに、走行中に生じる頭部の上下動の大きさ(頭部加速度)は、ランニングによる快適気分の向上と相関していました。

 以上の結果から、スローランニングという、ごく軽い最小限の負荷であっても、気分の好転と実行機能の向上を同時にもたらす可能性とその神経基盤の一端が示されました。

 本研究の成果は、体力に自信のない人や運動が苦手な人を含め、幅広い人々が安全に身心と脳機能を増進させる運動戦略として、スローランニングの有用性を示すものです。

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プレスリリース

研究代表者

筑波大学サイバニクス研究センター
征矢 英昭 客員教授(筑波大学体育系 名誉教授)

筑波大学体育系/ヒューマン・ハイ・パフォーマンス先端研究センター(ARIHHP)
桑水 隆多 助教

ランシット大学理学療法・スポーツ医学部
ダムロンタイ・チョーパカ 講師

掲載論文

【題名】
Slow running benefits: Boosts in mood and facilitation of prefrontal cortex function even at very light intensity
(スローランニングの有益性:超低強度であってもランニングは気分を高め前頭前野機能を促進する)
【掲載誌】
Imaging Neuroscience
【DOI】
10.1162/IMAG.a.1297

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