ALUMNI

飯沢 耕太郎氏

2017/05

飯沢 耕太郎(イイザワ コウタロウ)氏

1977年入学・1984年修了 芸術学研究科(博士課程)

写真評論家

① 現在のお仕事を聞かせてください。

写真評論家として活動しています。メインとなる執筆活動では、雑誌、書籍、新聞、Webなど幅広いメディアで写真についての評論を中心に発表しています。1996年には著書「写真美術館へようこそ」でサントリー学芸賞を、2009年には長年の執筆活動による功績が認められ、日本写真協会学芸賞をいただくことができました。現在は、幕末・明治から現代に至るまでの「日本の写真史」をさらい直すことに注力しており、今年中には小学館から全4巻の書籍を刊行開始する予定です。写真関連の著書の他にも、愛好する「きのこ」に関する本も出しています。
執筆業のほかにも、各種写真コンテストやコンペティションの審査員、イベントでの講演、写真展の企画、写真集食堂「めぐたま」への蔵書提供など活動は多岐に渡ります。また、大阪芸術大学、東京芸術大学、九州産業大学、東京綜合写真専門学校といった学校で客員教授や講師を歴任するなど、教育の現場にも携わっています。
写真は、誰でもわかりそうでいて、きちんとそのメカニズムや表現を理解するのは難しいものです。評論家としての幅広い活動を通じて、より多くの人に写真の良さを伝えていきたいと思っています。


② 今改めて,筑波大学で良かったと思うことを聞かせてください。

僕が入学したのは筑波大学創立間もない頃でしたので、草創期特有の皆で何かを作り上げようという雰囲気はとても良かったですね。同時期の学生たちは面白い人ばかりでした。
また、のびのびとした環境で時間をうまく使えましたし、自分自身で研究テーマを見つけて掘り下げていく作業は、フリーとして活動していくための良い基礎訓練になりました。

③ 本学と本学の学生に対してメッセージをお願いします。

4・5年ほど前に、博士論文の副査を依頼されて20年ぶりに筑波大学を訪れましたが、学生当時は木を植えたばかりだった構内が、すっかり森になっていて驚きました。創立以来蓄積されてきた伝統を感じます。学生としてこの伝統から多くを学び、そしてまた、自らもその伝統の一部となっていってください。
それから、学生のうちは役に立たないことをどんどんやりましょう。すぐ役に立つことというのは、案外あとあとに残らない。意外な経験が人生観を育み、自信につながるものです。役に立つかどうかは考えず、気になることにはどんどん取り組んでいってみてください。

創基151年筑波大学開学50周年記念事業