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デニムでつなぐ人と地域(ITONAMI代表取締役 山脇 耀平氏)

2021/4/22

山脇さんの写真

株式会社ITONAMI 代表取締役 山脇 耀平氏

-兄弟で運営する「ITONAMI」について教えてください

学生時代に弟と立ち上げたデニムブランドを発展させたのが「ITONAMI」です。岡山県倉敷市児島を拠点に、オリジナルのデニムブランド「ITONAMI」と、そのショップを併設した宿泊施設「DENIM HOSTEL float」を運営しています。

児島は、昭和初期には学生服の製造で栄えた場所なんです。それが戦後、下火になってしまったときに、ある人が、たまたまアメリカでジーンズを見つけて、輸入販売を始めました。それから研究して、製造もするようになりました。備後絣で有名な広島が近く、藍染になじみが深かったこともあり、このエリアがジーンズの産地に発展したんです。

先にジーンズに目をつけたのは弟です。岡山の大学に進学して何か活動したいと思っていた時に、ジーンズ工場を見学する機会があって、この産業に関わるようになりました。その熱意に刺激を受けて、誘われるままに一緒に活動を始めました。

-デニムブランドと宿泊施設という組み合わせは、どうやってできたのでしょうか

デニム

学生時代は、毎月1週間ぐらいのペースで、キャンピングカーに乗って、全国各地のイベントなどでデニム販売の出店をしていたんです。15ヶ月かけて47都道府県を回り終えて、どの場所でも暖かく迎えてもらったので、今度は自分たちが迎える側になりたいと考えました。でも、ショップだけだと「迎え入れる」という感じにはならない。それで、宿泊してゆっくり過ごしながら、まちの魅力に触れ、デニムも見てもらえるように、というコンセプトができました。実際、宿泊を目的にここへ来て初めて、デニムを知ってくれるお客さんも多いんです。

デニム産業も必ずしも順調ではないのですが、家業としてやっているところも多いので、なんとか続けていこうとしています。児島を拠点にすることで、そういう面でも力になりたいと思っています。だからまずは、地域の人たちに歓迎されることが大事です。その上で、各地からいろんな人が来てくれて、かつ、近所の人もふらっと立ち寄れるような場所にしたいですね。

-起業しながらの学生生活はどのようなものでしたか

活動を始めた時は、起業とかは全然考えていませんでした。ものづくりに打ち込む人の姿がすごく新鮮で、かっこよく見えたので、それを発信するウェブサイトを立ち上げたのが最初。工場の人との交流が深まるにつれて、もっと踏み込んで携わりたいと思うようになりました。

社会に関わることを広く学びたいと思って、社会学類に入りましたが、最初の二年間は、単位もあまり取れなくて、将来のことなんて何も考えられませんでした。それで、いったん休学して社会人の真似事を体験すれば、逆に学生として好きなことに集中できるようになるんじゃないか、と考えたんです。一年間、つくばから東京の会社に通ってインターンをしましたが、結構辛かった。でもつくばに帰れば同級生のルームメイトが応援してくれて、ずいぶん助けられました。

起業したおかげで、学生生活も充実しました。図書館で過ごすことが多くて、広々しているし、周りがみんな筑波大生だという安心感がありましたね。ビジネスコンテストに応募したり、クラウドファンディングで資金集めをしてみて、やりたいことをきちんとプレゼンすれば、支援してくれる人がいることが分かったのも、大きな自信になりました。

一つだけ心残りなのは、キャンパスにすごくたくさん外国人がいたのに、交流できなかったことです。もったいなかったと思います。

-現在の活動に対する手応えはどんな感じですか

ここは自分自身の地元ではないのですが、このまちにずっと根ざしていきたいという思いがあります。地域の人とつながりながら、訪れる人に、自分たちの日々の生活でいいと思う場所を紹介したりするのも楽しいです。

デニムのデザインへのアイデア出しなんかも、できるようになってきました。素材を見て、自分たちらしく着られるデザインを考え、何度も試作します。縫製や加工の知識は足りないので、その部分は工場の人たちと相談しながら進めます。工場と直接連携できるのは、地域に密着している強みですね。完成までに半年以上かかるので、今はもう次の秋冬のことを意識しています。時々東京へ行って、販売や広報をしたり、新しいプランを練ったりということもやっています。

ジーンズって、かつてはこだわりのアイテムで、高価なものもありましたが、若い世代にはそういう感覚はあまりなくて、安価にもなっています。それでも、長く着ていると色や風合いが変化していく魅力があります。普段着だけど、ちょっと違う、愛着を持てるものが欲しいと思っている人に届けていきたいですね。

-後輩たちに向けてメッセージを

筑波大は、すごく親近感があって、卒業後も愛着が湧く場所です。学内だけでなく、まち全体で学生を応援してくれていると感じます。だからぜひ、つくばという場所で自分なりの活動を見つけて欲しいと思います。起業も含めて、いろんな活動への支援体制もあるし、社会との交流もしやすいので、そういう機会も利用して、有意義な学生生活を送ってください。

色紙

PROFILE

1992年 兵庫県生まれ
2018年 社会・国際学群社会学類卒
大学在学中の2014年、実の弟とともに「EVERY DENIM(エブリデニム)」を立ち上げ。瀬戸内地域のデニム工場と直接連携し、オリジナル製品の企画販売をスタートする。2017年「forbes 30 under 30」アジア版に選出される。2019年岡山県倉敷市児島に宿泊施設「DENIM HOSTEL float」をオープン。2020年ブランドを「ITONAMI(イトナミ)」にリニューアル。